スキって

特別な言葉にして

愛した数は

言葉じゃ足りない程だよ

君の手に触れたい

思ったのは、もう何回だろう・・・?





ey  W ord






今日もまた、いつもの朝が始まる

「おはよー!好きさー♪」

いつもの様に、彼はそう言って私の肩を叩いて挨拶をする。
別に、私たちは付き合ってるわけでもなくて、

強いて言うなら、私の片思い。

だから、彼の言う『好き』に特別な意味が込められているか、なんて言えば
応えは『否』なんだろう。


だから彼の『好き』は、いつもと変わらない、
誰にでも言える単なる『挨拶』に過ぎないんだと思う。


それでも、彼にとっては挨拶に過ぎなくても、
自分にしてみれば、その言葉は特別な言葉で・・・

「あーはいはいラビ。私もよー」

これ、正直キツイんだ・・・

なのに、当の本人はニッと笑って、
「相変わらず冷たいサー、」とか言ってる。

冷たいんじゃなくて、どう接したら良いのか分からないだけ。

だって、その一つの言葉に対する意味が、
ラビと私じゃ、違いすぎるみたいだから。

その言葉に、『友達』としてはどう返して良いのか
分からないんだよ・・・・












今日もまた、変わらない日が始まる


「おはよー!好きさー♪」

いつもの様に、彼女の姿を見つけたから肩を叩いてそう挨拶する。
別にオレとしては『挨拶』のつもりでもないんだけど
がそうとしか取ってくれないなら、それは単なる挨拶でしかない。

任務とかがなければ、毎朝繰り返されるこの言葉。

正直、本気な分だけ、言うのには緊張するんだけど・・・

「あーはいはいラビ。私もよー」

また、そっけない返事だ。

それなのに彼女が名前を読んでくれるだけで
なんだかんだで嬉しくて、彼女の名前を呼べる事だって、
実はかなり嬉しくて

まぁ、はそんな事、微塵も思っちゃいないだろうけど・・・

思いがどうにも収まらないから、
どうにか入りつけた笑顔で「相変わらず冷たいサー、」とか言ってみる。

は、少し遠い目でオレを見てた。

こんなに誰かを好きになった事がないから、
言葉だけが空回りする

本当の気持ちは、いつまでも伝わらない

いつまで『友達』として『好き』を言わなくちゃならないのか

言葉は届いても、意味までは、届かないままだ・・・・












虚ろな『今日』が過ぎて、また次の『今日』が始まる。
憎たらしいくらい、空は快晴。

こっちの気も知らないで。

毒付いてやりたい。

部屋の扉に手を掛けて、溜息を一つ。
この部屋から一歩外に出れば、また変わらない『今日』が始まる。

彼の『好き』から始まる今日が・・・

「どうゆうつもりなの・・・ラビ・・・」

その言葉の、本当の意味が知りたいよ。
私の気も知らないで・・・

自惚れてしまいそう

ラビが、私の事を・・・

でも、そう願うのに心が否定するのは、
きっと、私が臆病なせいだ。

自惚れて、返して、否定されたら・・・

怖くて、だから、『友達』のままでも、いいじゃない・・


なのに、伝えたいよ・・・・


何も進まない『今日』を変えたい


ねぇ、その言葉


意味ごと受け取ってしまっても、良いの・・・?












廊下を歩いていたら、を見つけた。

「おはよー!好きさー♪」

だから、また言葉だけの『好き』の挨拶。
意味のない、虚ろな言葉。

声を掛けて、いつもの様に肩を叩く。

いつもの様に、ゆっくりと振り返る

呆れたような顔も、いつものまま・・・

「あーはいはい。私もー・・・」

いい加減、慣れろ。
『友達』としての『好き』の言い合い。











「私も、ダイスキだよ。」












その言葉に、ラビは目を見開いた。












心臓が、跳ね上がる。
体が震えていた。

どうして、『ダイスキ』なんて言葉、
返してしまったんだろう

友達から抜け出したかった

理由を問えば、多分、それしかない。

壊してしまっても、それでも

変わらない『今日』が続くよりも、ずっと・・・・

心の負担は、軽くなるのかもしれない

『好き』じゃ意味が伝わらない。

『今日』は繰り返される

だから、『今日』をぶち壊す合言葉は―・・・












「ん。オレも・・『愛してる』サ。













その、言葉・・・

『今日』が音を立てて崩れた瞬間

言葉の意味は伝わって

虚ろな言葉は、生を受ける


「愛してる・・」


もう一度そう呟かれた時には、ラビの腕の中に居た。






スキって

特別な言葉にして


愛した数は
言葉じゃ足りない程だよ


君の手に触れたい
思ったのは、もう何回だっただろう・・・?



ねぇ


長かった”今日”が終わった

私達の日付けが、今、変わったよ


日付けの変わる合言葉

怖くても
口に出さなくちゃ分からない


「愛してる」

ねぇ、
もう明日を怯えなくても、良いよね・・・・?

窓の外から見えた空は快晴。

私達を、祝っているようだった



                       ― fin...





65000hitを踏んでくださった架音様に愛と半年もお待たせしたお詫びを込めて。滝汗

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