今日は任務が早く終って。

そんな珍しい日だから、さっさと寝ようとベッドに入って。

只今時刻、午前1時を回りましたところ。


「あ、目ぇ醒めちゃった?」


何故この赤毛が此処に居る・・・


いや、まあ10000歩位譲って、この部屋に居るまでは許そう。

一応、自分たちも恋仲だ。それくらいは許す。


許す、けど―・・・・


自分を組み敷く、この体勢。

これはちょっと・・・っていうか大分。


いただけない。



「・・・・何してんのかな?」


「んー・・・夜這い?」


ラビの体がベッドから冷たい床に叩き落された。

ガゴンっ!!と、後頭部を打ち付ける音がする。


「ぁいってぇ〜・・・・!!」



良い音がした割に、案外余裕に頭なんか抱えているラビ。

クソっこの石頭めっ


「何するんサ!!」


「うるさい黙れ!恥を知れ恥を!!」


「あー。それはムリな相談さぁ」


「なんで!!
 その理由を10文字以上30文字以内で簡潔に述べよ!!」


深夜の時間を無視した怒鳴り合いが響く。
ラビは、然も当然の様に答えた。


「恋は盲目って、昔から言うっしょ?」


「は?」


「恋してる人間は、恥も外聞も無いんサ〜」


馬鹿を言うラビに思わず呆れるも
そんなにラビは尚言う。


「あー。あと、こうとも言うさな。」


「・・・・何よ。」


「恋は闇・・・だっけ?
 恋をするには闇が好都合〜って。」


「っ意味が違うわよっばかっ!!」


手元にあった枕を投げつける。

顔に見事に当たって「ぐぇっ」とか言う声が漏れた。


それでもラビはめげない。

その枕片手に、ベッドに上って来る。


「ちょっ・・・」


「まーまーまー。
 別にやらしい事しよう〜なんて言ってないっしょ?」


「一番最初に夜這いとかいったのは誰!!」


「うわっ細かいさ!!」


「何でも記録してるあんたに言われたくない!!」


「ままま、落ち着くさ。どーどーどー。」


「馬扱いすな!!!」



なんか、怒鳴りすぎて疲れてきた。

思うでもなく溜息をついたら、ラビが肩に手を添えて
何かと思えば、そのまま力で押されて、ラビと共にベッドに倒れこむ。


「な、ん・・・!?」


またしても怒鳴ろうとするの口元に、人差し指が添えられた。


いや、「しーっ」じゃなくて。
確かに時間的にちょっと、大分、かなり、迷惑だとは思うけれども。


「だってさー
 ってば、折角任務から帰って来たんに、
 俺に会いに来てくんねーんだモン。」


「モンって・・・・」


そんな可愛い口調で言われても、元がラビじゃ可愛くもなんとも無い。



呆れるに、ラビは思いがけず柔らかい笑みを浮かべた。


「だ、か、ら、一緒に寝ようサ、


どんな繋がりでそうなるんだよ、とか。

本当に変な事しないだろうな、とか。


言いたい事なんて幾つもあって、それでも、言葉にはならなくて



「あーーーもーーーーっ」


結局あげた声は、そんな『負け』を認める声でしかなくて。
ラビが満足そうに笑う。


結局これで、自分は本格的に負けなのだ。


「恋は盲目・・・か。」


「ん?」


「シャレんなんない・・・・」


恋に堕ちた人間は、どうしてこんなに愚かで、
恥を知らないんだろう。


「まあ、それはしょうがないさ。」


「何で。」


納得いかない。

そんな顔でラビを見上げる。


腰に回った手が、の体を引き寄せた。


熱の伝わる、近い位置。



「恋は、人間に許された 唯一の愚かな行為だから。」


言ったラビは、微笑んでいて

は顔をそっぽに向けて、ムスくれた。


「余計に納得できないわよ、」と。


そんなに、ラビは笑って。



「なあ、ちゅーしよ?」


「却下。」


「・・・ケチ。」






の終らない世界
この感情を、神は何故許したのだろう





special thanks[哀婉

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