泣いてあげるなんて癪だから

笑ってあげるわ

何も言わない 君の抜け殻





憎は
表裏





例えば、こんな私を人は『愚かだ』と言うでしょう。

けれども私は、こうでもしなくちゃ
この腐った大地に立てない。

否、腐ったのは私の心かしら・・・?

どっちでも変わりない。

事実上、貴方はこの世界から消えた。
けれども私は、貴方がまだ生きていると信じてる。

だってそうでもしなくては
この彩を失った世界に、私は膝をついてしまう。

「ねえ・・・早く帰ってきてよ・・・ユウ・・・・」

知ってる。もうそれは、叶わぬ願い。

貴方はもう この世界から消えた

消え、た・・・・・

果敢に戦ったエクソシストとして

誇らしいと、十字架にその名を刻まれて

『死なない』と言った彼の名は今
空に任いた炎しか残らない

「ねえ・・・ユウ・・・」

帰ってきて 一度だけでも

また、不器用に呟いて

『愛してる』って

名前、呼んでよ・・・・



コムイから電話で聞いた日。
死刑の宣告をされるよりも、信じることの出来なかった日

あの日から、事実上貴方はこの世界から消えた。

けれども、愚かな私は認めない

認めない・・・・けれども・・・

「ユウ・・・」

今日初めて、貴方の十字架の前に立った。
掲げられたエクソシストの証の前に
彼を称えた蝋燭が灯っている

今、誰かの燈したソレが、一つ、燃え尽きた

「ねえってば・・・」

『ンだよ』

「何時まで待たせるのよ」

『さぁな』

「ユウが・・・死ぬはずないもん・・・ね・・・」

『当たり前だろ。テメェ喧嘩売ってんのか?』

「まさか」

目を瞑れば、先に彼の姿が見える。

ホラ、貴方は其処に居るじゃない・・・・

愚かだと、いっそ笑って

それでも私は、先に進めないから

私の未来は、此処で終わりだから

「ユウ・・・」

『ッンだよ』

「ユウ」

『・・・・・・・。』

涙が落ちそうになった

それでは、認めることになる

泣いてしまったら、私まで彼を消すことになる

ソレは、癪だった。

だから、笑ってやった

変な顔になっても、それでも・・・

泣かなければ、それで良い

笑って 哂って

「バカね・・・ユウ・・・」

言ってやったわ

名前だけを称えられた 貴方に

言ってやった

「こんな良い女置いて、何処に逝ったのよ・・・・」



                   ― fin....



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