この温もりが 肉塊へと変わるなら

嗚呼私は その骸を愛しましょう

例え貴方が腐り 土へと孵っても

私は 貴方の名を求めましょう



れでも
矛盾 感情




「人って、死んだらどーなるんかなぁ・・・」

「腐る。」

「・・・・・・。」


ラビの質問に即答したら、睨まれた。

「嘘だよ。冗談。
 睨むなって、男前が台無しじゃない」


肩を竦めて、ポンポンと、彼の肩を叩く。
ラビは、むくれていた。


「・・・・アレンのこと?」

「ま、な。」

問いかけたら、答え。
少し、寂しそうな顔。


「そんなの、死んだ人間以外わかるわけないじゃない。」


言ってやったら、複雑そうな顔をした。

けれど、それ以外に、何を言ってやれるだろう。



「天国が何だの、幽霊がどうだの言ったって、
 わかるわけがない。」


「そりゃそうだけどさー。
 もうちょい、想像の世界をだなぁ・・・」


「想像が物言う世界なんて、虚しいだけでしょ。」


言ったら、ラビは何かを言おうとしてたけれども、
結局言葉が見つからなかったのか、止めた。


前を歩くリナリー達の背中が赤い。

陽はそろそろと沈み始める。

日出づる国は、朱く染め上げられる。

鮮やかだ。


アクマ製造の本拠地のクセに―・・・・


美しいと思わせるには、充分すぎる。



「・・・・・どんなにー・・・・」

「へ?」

「どんなに苦しくたって、現実から逃げたって・・・
 私たちは、生きてる。」

リナリーが、少し振り返ってこちらを見た。
少し微笑んでやると、力ない様な笑みを返してくる。


「・・・・進まなくちゃ。」


終わりを思う暇はない。
死者を思っていても、自分達は生きている。

・・・・でも・・・・



「ラビが死んだ時、私はどうなるんだろう」


愛しい人を亡くした時に、私は―・・・・


「縁起の悪ぃ事言うなって。」


ポンっと優しく、ラビの大きな手が頭に置かれる。

夕日に染まる彼は、微笑んでいた。

その笑顔が、暗に示すのは―・・・






”コ コ ニ 、 イ ル ”―・・・





「こりゃ、の為にも死ねねぇサ」

「・・・・当たり前。」


きっと、今の私は情けない顔だろうと思うけれど、
笑って、言ってやった。


ねえ、それでもきっと
貴方が死んでも私は、貴方を求め続けます。


冷たくなっても、温もりを。


腐り落ちても、その名前を。


もしその名さえも、忘れてしまったのなら―・・・




「ねえ、ラビ」


「ぁん?」


「跡、追っていい?」


「・・・だーめ。」




貴方のその、優しい笑顔を、求めましょう




                ― fin,,,



- CLOSE -