ねぇ、

今日はね、いつもの誕生日とは違うんだよ


今日はね、ただの記念日じゃないんだよ




irthday
〜記念





朝、目覚めた暖かいベッドの中、
真っ先に眼に入るのは、貴方の寝顔。

伝わるのは、貴方の鼓動。

暖かい 温かい

カーテンの隙間から差し込んでくる、
朝の清らかな光に、眼を細める。

「ラビ・・・朝だよ?」

「ん〜・・・・」

寝ぼけ眼のラビは、生返事をして
再び夢の中。

つまり2度寝。

「ラビー?」

「んー・・・」

「ラビィ・・・」

「ンッ・・・・」

「ラービー・・・」

「・・・・・・」

「今日、私の誕生日なんですけど?」

――ガバァッ!!

凄い勢いで起き上がった。

「えっ、嘘っ、アレ!?
 昨日・・・・」

「12時になる前に寝てました。確実に」

少し冷たい口調になってしまって、
ラビが青ざめたのが、わかった。
まぁ、当然・・・と思う。

昨日、12時と同時にお祝い♪なんて
2人で言ってたのは良かったんだけど、
どうやらラビは、睡魔に勝てなかったらしくて・・・

「ま、任務で疲れてたんでしょ?
 いーよ。なんならもう少し寝る?」

さっき冷たく言ってしまったのを少し後悔して、
今度はラビに問いかける。

ラビは、まだ寝ぼけてるらしい頭を横に振った。

「ヘーキ、起きる。
 っぁ〜・・・マジ悪い・・・」

「だから、良いってば」

しつこいと逆に怒りますよー?なんて、おどけて言うと、
ラビは苦笑して『了解っ』と頷いた。

「でも、俺ベッドに入った記憶が・・・」

「あ、私が引きずっちった。
 流石に持ち上がらなかったからさ」

ベッドメイキングして、ラビに言う。
着替えようとしていたらしい服を、取り落とした。

「・・・もしかして、ちょっと不機嫌?」

「『ちょっと』ね」

折角の誕生日なのに・・・

なのに・・・

「まだ『おめでとう』って言ってもらってないもん」

その一言で、ラビはハッとしたらしく
慌てて落としたシャツを着て、こっちまで駆け寄ってきた。

「おめでと!
 おめでとう御座います、っ!」

必死だなー・・なんて。
わかる表情。

思わず笑みが零れて、
ラビに軽くキスをした。

頬に朱がさしたのは、気のせいかな?
まぁ、滅多な事じゃ、
自分からキスなんてしないし?私

「さて、ここでラビに問題です」

「へ?」

「今日で私は何歳になったでしょう?」

「じ、16?」

「当たり。
 で、ラビは今何歳?」

「・・・・18?」

「この二つの年齢が意味するものは何でしょうか?」

一瞬、ラビは呆けた。

頭の良いラビだから、逆にこうゆう
簡単な問題は難しいのかな〜・・・なんて、ね?

眼を見開いたラビは、固まって、
そのまま動かないから、逆にコッチが心配になる。

「・・・ラビ?」

「へっ!?いやっ、ぇっ・・は!?」

声を掛ければ、慌てだす。
今日のラビ、かなり変。

「どうしたの?」

訝しげに、眉をひそめて聞く。

「ハイ、ラビ君。深呼吸ー」

掛け声を掛ければ、
ラビは深く深く息を吸った。

落ち着いたかな?と思う頃に、もう一度聞く。

「で、どうしたの?」

「いや、あのサ・・
 もしかして、バレてた?」

「『バレてた』?」

何のこと?と首を傾げる。
ラビは、自分のポケットから小さな箱を取り出した。

「コレ・・・」

「・・・・・?」

なに?コレ・・・
ラビを見れば、顔を赤くして、俯いてて、
付き合った当初を思い出す感じ。

「プレゼント」

それだけ呟かれて、
さっきの質問は何処へ行ったのやら、
プレゼントと言われたその箱を開く。

思わず目を、見開いた・・・

「こ・・・れ・・・?」

箱に入っていたのは、シンプルな指輪で
ラビはその箱を受け取ると、その指輪を取り出した。

「・・・バレてたんじゃ・・無かったんだ?」

「バレてないよっ・・何、コレ・・・」

鼻の奥が、痛くなる。
滲む涙を、必死で抑えた。

「16歳と、18歳。
 答えは、どちらも結婚が出来る歳になりました」

そう言って、ラビは私の左手を取って、
薬指に、その指輪をはめた。

「正・・・解・・・」

我慢した涙が、溢れた。
一滴、二雫と、頬を伝って。


「特別だったから、
 ホント、テンパッてたんだ。
 しかも、失敗しまくって、こんなんでサ」

私は、嗚咽が漏れそうで声が出せなくて、
変わりに、精一杯、首を横に振った。

そんな事ないよって、伝えたくて。


「こんなヤツでも、
 これから先、付き合ってくれますか?」

改まったその言葉が、くすぐったくて

あぁ、自分にはこの人しか居ないって、
恥ずかしいけど、思っちゃって・・・

「はい」

精一杯の、笑顔で返した。

有難うって意味を籠めて。

これからもよろしくねって意味を籠めて。

精一杯の、笑顔で・・・・


「大好きっ!!」

思わず抱きついて、
ラビの肩に顔を埋めて、
嬉しくて嬉しくて、泣いた。

優しく髪を撫でてくれるラビが、ソコに居た。







ねぇ、

今日はね、いつもの誕生日とは違うんだよ


今日はね、ただの記念日じゃないんだよ


16歳って、女の子にとっては大切。


ねぇ、覚えててくれて、ありがとう。


これからも一緒に居てくれる事、


誓ってくれて、ありがとう。


                        ―fin...


自分で祝おうお誕生日企画(長)第一弾。
一回目をやったら引っ込みが付かなくなって
毎年やっている次第です。爆

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