遠くを見ている 瞳が悲しい

手を伸ばしても 届かない


アナタハ イマ ドコ ニ イル ―・・・・・?






孤独




乾いた音が、空間に響いた。

人の感触の無い冷たい廊下。
見慣れたはずが、どこか無機質。

目の前で彼女は、目に涙を溜めて、肩で息をしていた。
頬が朱い。

彼女をこんな表情にしたのは、自分だ。



おかしくなりそうになる



「なん・・・で・・・」



涙を堪える声が紡ぐ。


震える肩が、たまらない。


壊れてるなんて、知っている。


「なんで・・・こんな事・・するの?」


友人である彼女に、キスをした。

”友人”である彼女に―・・・


「なんでって・・・」



だって、ブックマンに、心はイラナイから・・



「なんとなく?」


もう一度、頬に衝撃。
ジン・・・と痺れる。

痛いのは、頬より胸だ。

睨む目が良い。

壊れてる。


「・・・・嘘つき」


「嘘じゃねぇサ」


「嘘よ」


言い切る姿。

愛おしい 愛おしい

狂ってる。


違う・・・

違う、そうじゃない。


自分はブックマンだ


”ブックマン”だ―・・・・


「っラビの・・・・バカ―・・・・・」



「失礼サ、



伸びてきた手。

払う事もしないで、されるがまま。

頬に絡む細い指が冷たいのは、
きっと叩かれたせいだけじゃない。



「理由が無いくせに、
 なんで泣きそうな顔、するのよ・・・・」


「・・・・・っるさい・・」


だって、しょうがないんだ。

好きになってしまったんだ。

愛おしくて、しょうがない。


君に、壊れてる。


俺は、壊れてるんだ。



「・・・・・・・・」


「・・・・。」


ッ!!」


ねえ、これで失望しただろう?


俺を嫌いになってよ


嫌いになって、もう、俺の前に現れないで


もう、俺に微笑まないで


もう、俺に触れないで



「ラビ・・・・」



名前をもう、呼ばないで―・・・・



これ以上俺が、壊れない内に



「ねえ、泣かないで・・・」



こんな感情、なければ良いのに




                       ― fin...







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