酸っぱい


「ねぇ〜。ユウ〜」

「・・・何だよ」

「私達ってさぁ、付き合ってるんだよねぇ?」

「だろ?」

「もう付き合い始めて、半年以上経つよねぇ?」

「・・・あぁ。」

「恋人らしいこと、全然してないよね。」

「・・・・・」


またこの話か・・・

神田は溜め息をつく。

確かに、付き合って半年も経つというのに、
キスはおろか、デートに行った事も、手を繋いだことも
無いというのは、流石にどうかと自分でも思う。

けれど、この数日間、とはこの会話しかしていない気がする。

していたとしても、この会話の割合が大きいためか、
余り覚えていない。

「やっぱりさぁ、恋人同士って言ったら、
 二人で街とかにデートに行ったり、手ぇ繋いだり
 キスしたりとかさぁ〜?」

「あ〜っ!たく、わかったよ!!」

いい加減めんどくさくなってきた神田は、立ち上がると
一瞬の隙で、駄々をこねるに、キスを落とした。

「・・・これでいいだろ?」

何事だかわかっていないに、神田は何事も無かったかの
様に座りなおした。

ようやく状況のつかめてきたは、
顔を真っ赤にして、口をパクパクさせた。

「なっ、い、今、ユウ!!!?」

「やりたいっつたのはお前だろ。」

「最っっっ低!!!」

「あ"ぁ"っっ!?」

喚きだしたに、神田は驚き半分キレ半分
といった感じだ。

「私は、夕暮れの綺麗な公園で、沈む夕日を
 見つめながら、2人でベンチに腰掛けて、
 甘〜〜〜いキスを!!それが
 私の理想だったのにぃ〜!!」

「ンな事知るかよ!!ってか、なんだ、
 そのかゆくなるような設定は!!?
 もっとマシなの考えつかねぇのか、テメェは!!?」

「ひっどぉ〜い!最愛の彼女に向かって!!」

「誰が最愛だって!?」

「あたしに決まってるじゃない!!」

「ケッ、誰がテメェを一番になんか・・・」

「あたしの目の前にいる、前髪パッツンの黒髪よ!
 っていうか、今のは浮気発言ね!?
 そうねっ!!?そう取るわよ!!!?」

「だっから、どうしてそうなるんだよ!!?」


・・・この喧嘩は夜更けまで続いたとか・・・

世の中、理想どおりには行かないものである。

それでも、満更じゃぁ無さそうなこの二人だったり

するわけなのだが・・・

                              ―fin.....




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