罪と愛の禁断の道

彩味ない神の道


選ぶなら さぁ


ドチラ―・・・・・?






に捧げた
祈りよ







「天のお父様。
 今日も清い一日を送れた事を、感謝します―・・・・」

教会で、高い声が響く。
ステンドグラスの輝きが、神秘的に十字架を照らした。

”清い一日”

清くとは何か。


男女の交わりが無いこと?

禁欲を通し、生涯処女を守り通す事か―・・・・


己の手を染めないこと?

他者の血で、己を汚さないことか―・・・・・


けれども、それでは子は生まれない。

けれども、それでは食することすら出来ない。


十字架に捧げる祈りは、あまりに矛盾が多い。




 そっの胡散臭いお祈りは終わったぁ?」

一緒にこの教会に来ていたロードが、そう言って急かす。
一応形を大切にして膝間付いていたは、
その言葉にハイハイと返事して立ち上がった。

スカートを掃う。
別段汚れた訳でもないけれど、なんとなく、
不快だったから。


ロードは楽しそうにに言う。

「清くってさぁ・・・
 の今日の一日の、何処が、清かったワケぇ?」


そんなに血の匂いが染み付くほど、人殺しといてさぁ。と、
冷たい響きが、反射した。

「別に。
 ただ、人生で一度くらい、
 そんな綺麗事も言ってみたかっただけ」

自分は罪人。

人を殺すことも、何とも思わない。

神に祈る。

感謝する。


けれど、その神が何をしてくれる?

笑うだけだ。

神はただ、地べたを這いずり
必死になって生き続ける自分たちを
嘲笑い続けるだけだ。

祈りなど、
人間のささやかな願い

身勝手な救い

生きる為の脆い支え。


「ロード、おいで」

伸ばした白い手に、ロードの手が触れる。
その冷たい手を引き寄せて、
驚くロードに、そっと口付けを落としてやった。

十字架を、横目で見ながら

神を嘲笑うかのように

神に一番近いこの場所で、
見せ付けるように、口付けを―・・・・


・・・どーゆうつもりぃ?」


「ん?
 ロードは可愛いなぁって」

「・・違うよねぇ?」

「ハイハイ。
 わかりました。ちゃんと言いますよ。」

キスしたことに怒ってないくせに、
嘘をつくことには、怒り出す。

不思議な少女。

は、そんな少女を見ながら、言う。


「神に、見せ付けてやったんだよ」

十字架に捧げる

貴方への助けを求めた祈りなんかより―・・

「罪を犯して神を笑う事の方が、
 神の暇つぶしよりもずっと、楽しいって事をね」


人の運命を手に掛け笑う神の悪趣味な暇つぶしより
コチラの方が何倍も楽しいと言う事を。

「ロード。
 アンタも、一緒に堕ちる?」

清くあり続ける神の道など

鼻で笑って


が居るなら、
 それで僕はいいよ」


神を哂い、一緒に堕ちてゆこうか

罪人の道を

十字架に捧げた祈りより

何倍も楽しい

罪と愛を重ねる言葉に―・・・


堕ちて 逝こうか




                      ―fin...



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