土  や  水  や  木  や  風  よ 



こ  の  地  に  降  る  太  陽  の  光 



私  の  大  事  な  あ  の  人  に 



ど  う  か  優  し  く し  て  く  だ  さ  い  .  .  . 










こんなにも い君








冷たい、肌を刺すような風だった。

呼吸をすれば、臓器が凍ってしまうのではないかと
心配してしまうほどの、冷たい空気だった。

けれどその冷たい風に、冷たい空気に、微かに混じるのは、
春の初々しい、優しい香り。

もうすぐ、季節は変わるのだ。

何も告げずに去り、また何も言わずにやってくる。

それは、虚しいほどに決まりきった出来事で、
これから先もきっと、この決まりは繰り返される。









眺めのいい丘。

この町の景色を一望できる。

そんな丘の上には一人の少女が立っていた。


少女の名前はロード。

ずっと、景色を眺めながら、ポツリと呟く。


「大嫌い・・・」

変わらず繰り返す、季節の移り変わりが・・

「大嫌い・・・」

永遠に続く、時の輪廻が・・・

「大・・嫌い・・・」

人間なんか・・・・
















ロードには一人だけ、友達と呼べる子がいた。

名前は

は何処にでもいる人間だった。

けれど、何処にもいない人間だった。


ロードは人間が嫌いで、でもは大好きで。

も同じ。

人間が嫌いだった。でも、ロードは大好きだった。

二人はとても仲が良くて・・でも、ある日失った。


・・・?」

どんなに呼びかけても、もう二度と目を覚まさない。


『可愛そうに・・・』

『強盗だって。最近、治安が悪いから・・。』

『まだ幼かったのに・・』


周りでする人間達の声は、ただの雑音でしかなくて、
ただ、彼女の声だけを求めた。


大切な人を失う痛み・・・


初めて、知った―――














不意に、強い風がロードを包む。


『ロード。私ね、お母さんもお父さんもいないの。
 なんかね、ちっちゃい時に、殺されたんだって。
 それで、今は大っ嫌いなおばさんに育ててもらってたりするんだ』

「・・悲しくないのぉ?」

『悲しいって言うか・・別にね、両親の事は、顔すら知らないから、
 悲しくはないよ。別に、親の温もりが欲しい〜とかって、
 思ったりしないし。ただ・・・』

「ただ?」

『ただ・・・なんか・・すごく、嫌になる。
 周りに気を使って、周りの言う『普通』に合わせて、
 自分を捻じ曲げていくこと・・』

「ふ〜ん。はさぁ
 そうやって人に合わせて、何かを得るのぉ?」

『なぁ〜んにも!むしろ、少しくらい避けてもらってた方が楽なのに・・
 まぁ、それでも結局、他人に合わせる私も悪いんだよね・・』

「・・ほんと、って変わってるよねぇ」

『そうかもね・・でも、
 それでロードが傍にいてくれるなら、
 私はソレでいいよ。』


そう言った、の笑顔は―――・・・・・

















「大嫌い・・・・」

人間なんて大嫌い…

人のものを奪って憐れんで、けれど自分の事になると、
奪われたくも、憐れみも、受けたくないと…

「大嫌い・・・」

すぐに、目の前から消えてしまう・・・

「・・・・・・・」


大好きだった――・・・


だから・・・・













人間なんて大嫌い。

ヘボイ人間なんて、消えればいい。


大切なものを 奪うなら


人 間 な ん か    消 え れ ば い い ・ ・ ・ ・












全 て が 消 え た  こ の 世 界 を






も し  君 が 見 た な ら・・・


あ の 日 の よ う に 君 は



笑 っ て く れ る か な ―――?






                                ―fin...




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