Do you starve for love?
 ―Yes, I do





その 中に、 やいた




「Do you starve for love?」

「・・・・何、いきなり。」


屋上の上。

突然英文を吹っかけてきた彼女に、雲雀は眉を顰めた。

当の本人はと言えば、貴重な睡眠時間を邪魔したことも
いきなりワケのわからない問いをしてきたことも気にしないで、
ただ答えを待っている。


「Do you starve for love?」


”何”の質問には答えないで、再び繰り返す。


「だから、その質問は何なの。」


さらに答えずに言うと、
は不満そうに口を尖らせた。


「質問に答えようよ。」

「君こそ、質問に答えたらどうなの」

「私の質問が先だった!!」

「・・・・・・。」



何処のガキだろう。この子は。


問いかけて頭を抱えたくなる衝動を押させて、
不機嫌そうな顔を保つ。

眉間の皺は、1つ2つ増えたかもしれない。


「大体何?その英文。文法、あってるの?」

「多分あってる気がしなくもない。」

「・・・・馬鹿にしてる?」

「大マジメ。」


・・・・・・・・・。


そうだった。
そういう子だった。

どんな馬鹿らしい事も、大マジメに聞いてくる子だ。


「馬鹿らしくないからね」

「・・・・・・・・・。」

「今の私には、すごく大事。」


たまにこうして、思考を呼んだように言っては
ドキリとさせる。

癪だけど、そんな子。



「で?」

「ん?」

「質問の意図は?」

「ヒバリさんの彼女として、定期チェック」


なんだソレは。

思わず、溜息をついた。


― Do you starve for love?


彼女らしい、馬鹿な問いかけだ。

答えなんて、わかってるだろう。


「・・・・・答えは―・・・・」

彼女の思惑通りに言ってやるのが癪で、
その体を抱き寄せた。


耳元で、聞こえるか聞こえないか位の声音で、囁いてやる。


「No・・・・だよ。」


彼女には、こんな風にいつもペースを狂わされる。

こんな事言えるのも、多分彼女だからで、
恐らく当の本人は、自分の特別性について解っているのだ。


なんて、達が悪いのだろう。


「うん。よろしい。」


にっこり。

ペースの狂う要因は、これだ。

本人が、ソレさえもわかっていて使っているのだとしたら。
彼女はある意味、最強と呼べるかもしれない。

そして、それがまた素でやっているというのだから、
コレはこれで、また最強だったりするのだ。


「じゃぁ、僕は狩りにでも行って来ようかな」

「おー。行って来い。」

ひらひら手を振る。

此処で止めないのも、彼女らしい。


「あ、恭弥。」

「・・・・何?」

「I love you far better than all of humankind.」

「はいはい。じゃあね。」


”誰よりも、貴方を愛しています”


聞き流すフリして、口元に浮かびそうになる笑みを押し止める。


― Do you starve for love?


”貴方は愛に飢えていますか?”

答えはNo。

その笑顔に、言葉に、満たされる。


僕は 愛に飢えていた
I did starve for love.


けれども、今
But now,


嫌でも、君の愛を感じるから・・・・
Whether I like it or not, I feel your love.


僕は、言葉では表せないほどに、君を愛しているんだ。
So I love you far better than words can ever express.



                    ― fin....






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