一応三倍返しです
Ver,ジョニー










時は3月14日


自分の世界では、ホワイトデーと呼ばれるその日なワケだが



、」

「はい?」

「甘いものは平気だったよな?」

「・・・・・・・・・はい・・・・?」



特別駄目ではないですが、と答えた自分に
そいつは良かった、と、目の前の美人さんは
綺麗にラッピングされたソレを差し出してくる。



何ですか、コレ、と尋ねれば
何って、今日はホワイトデーだろう?とのお答え。



「・・・・・あの、ジョニーさん、」

「なんだ?」

「私、ジョニーさんにチョコ、渡しましたっけ・・・?」

「いや、貰ってないな。」

「ですよねー。ってかこの世界、バレンタインとかあったんですか」

「まあ、一応はな」



ケロッと答えられて、暫く笑顔で見つめあった後
は盛大に叫び声を上げた。


驚いた様子のジョニーは「どうしたんだ?」と尋ねるが、
は「どうしたじゃないですよ!」と詰め寄る



「この世界にはバレンタインないかなって思って
 チョコ渡さなかったのに!!もっと早く言ってくださいよ!!」

「そう言われてもな・・・・」

「うわーっそれ受け取れません!だってチョコあげてませんもん!!
 申し訳なくてもらえません!!」


ギャーッと両手を振る
ジョニーは心底残念そうに「そうか・・・」と呟いた


「折角リアーナに教わったんだがな。」

「・・・・・って、ジョニーさん、それ、まさか手作り・・・・・」

「ああ、一応な」



味は悪くないと思うんだが、と続けたジョニーは悪びれもなく
代わりにが、グっと言葉に詰った。


いつも、自分が料理を作ることはあれど
彼の手料理は心底珍しい。


いや、普段フラフラ出歩いて自炊している分
中々美味しいとは話に聞いたことはあるけれど


自分が食べた事は、まだ一度たりとて、ない。



唸るに、ジョニーが首を傾ぐ


それから暫くして



「ジョニーさん、今日これから暇ですか?」

「まあ、特別な予定はないな。」



今回は何を思いついた?


何だか楽しそうに尋ねたジョニーに、
は少しだけ微笑んで見せた。


これから出掛けましょう、と。


「それで、私、チョコ買いますから・・・
 ホワイトデーですけど、交換ってことで・・・・」


どうですか?



目を丸くしたジョニーに、は問いかける。


ジョニーはしばらくそのままで固まった後に

フっと表情を和らげて、ポンっと頭の上に手を乗せた。



「どうせだったら、の手作りにしてもらいたいんだがな」

「って、今からですか・・・・?」

「いくらでも待つさ。たまには悪くないだろう?」



言われて、はしばし無言のまま

暫く後に、微笑を返した。



「分かりました。
 折角なんで、三倍返し、しますね」


「はは、楽しみにしてるさ」



さて、どんな珍料理が出来るかな?なんて
冗談めかして言った彼に、は戯れるように怒りながら


彼の料理に負けないように、
とびっきりのお菓子を作ってやる、と心に決めた。






(ところでジョニーさん、何作ったんですか?)
(なんて事はない、簡単なチョコケーキだが?)
(・・・・ジョニーさんの簡単は当てにならない・・・)
(なんだ、信用ないのか?俺)
(そうじゃなくて、その逆です・・・・)
(?)



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