一応三倍返しです
Ver,ラビ









絶えず人で賑わう食堂。


様々な国の人間が集まり、視覚的にも賑わうが
むさい男が大半となれば、余り眼福効果は得られない。


ラビは手元のソレを指で突きながら、
さて、彼女にはいつ会えるだろうと思案する。


彼女が任務に出掛けて、早数日。


そろそろ帰ってきても良い頃だろうと思う。



っていうか、帰ってきてくれないと、ちょっと困る。



ひとつ溜息を零して視線を出入り口へと向ければ、
しばしの間ポカーンとして


小さくガッツポーズした。



!おかえり!!」


「う・・・わ、っと・・・びっくりしたー・・・・」



ラビかぁ、なんて
寧ろこちらが驚くくらいに肩を跳ねさせて振り返ったのは
先程からずっと待ち望んでいたその少女で


これだけ人が溢れている中で見つけられるのだ
ちょっとした運命を感じないでもない。


とか思っていれば、目の前の彼女は
「・・・なんか今、変なこと考えてなかった?」と半眼で


・・・・・別に、変なことなんて考えてない。


いたって、真面目だ。



そんな事は無いと手を振って返せば
は「ふーん?」と、未だにジト目だった。



「んな事より!これ、なーんだ?」

「・・・・・・プレゼント?」



目の前にヒョイっと差し出されたそれに
は首を傾げる。


誕生日には、まだまだ日があるよなぁ・・・と
頭の中で日付を確認して。


こないだのお返しさ、とか言うラビに
記憶を少し振り返ってみれば、思い当たる節に手を打った。


「ああ、今日ホワイトデーだったんだ!」


任務帰りですっかり忘れてた・・・なんて苦笑してみせる
そんなこったろうと思ったさ、とラビ


「ちゃんと三倍返ししてくれた?」


からかう様には言う。


お返しに悪戯っぽい笑みを浮かべて言ってやれば、
彼女の笑みは少し引き攣った。



「これからたっぷりと、愛の言葉でする予定さ。」

「い、いらない・・・・!!」



あまりの即答ぶりに、
少し切なくなったりとかしないでもない。


遠慮すんなーって、と笑うラビに
は全力で拒否をして。


ちぇーっと口を尖らせたラビに
頬に朱を上らせるは、肩で息を付いて。


、」


「へ・・・・・」



そんな隙に、ソっと耳元で囁かれた言葉。


一気に顔が茹で上がった彼女は
何か言葉にならない声で自分を怒りながら


「っ私、ご飯とってくる・・・・・!!」


「おう、転ぶなよー」


「転ばないよバカラビ!!!」



言いながら、自分の渡した包装紙を
ギュっと両手で抱え込み、人ごみに紛れて行く彼女を


何とも可笑しそうにしながら、ラビは見送った。







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