自分でも、酷い話だと思う。


自分の欲がこんなにも浅ましいだなんて、思っても居なかった。


それでも止められないこの感情は、怖いけれども心地良い。


この感情を異常と言うのなら、私はもう狂っている。


それで良い、それでも、良い。


貴方を愛した事が、偽りにならないのなら、それで良い。


「・・・・ねえ、カイト」


「はい?」


隣にいるカイトを呼べば、当然の様に返ってくる返事。


それが嬉しい。


それだけでも、嬉しい。


「カイトはさ・・・・私が死んだら、どうするの?」


「はい?」


唐突な問いかけには、暫くの間の後に、素っ頓狂な声が。


けれども外されない私の真面目な視線に、
カイトは戸惑ったように視線を揺らした。


「マスターは・・・・・」

「ん?」

「マスターは、どうして欲しいですか?」


貴方が死んだ後の、俺に。



真っ直ぐに聞かれて、思わず視線を逸らす。


―― 自分でも、酷い話だと思う。


「・・・理不尽だって・・・・・思ってくれて良いよ」


それでも止められなかった、私の愛だ。



「一緒に、死んで・・・・カイト・・・・」



理不尽だと、思ってくれて良いから――・・・・


「私以外の誰の物にもならないで、私以外の歌を唄わないで。
 私が死んだら、その時は――・・・・」



一緒に死んで、一緒に眠って。


ずっと一緒に、自分だけの為に。



酷い話で良い、理不尽で良い。


カイトに抱きしめられて、伝わったその温もりが、
今はどうしようもなく哀しくて


こんな愛しかカイトに渡せない、自分が悔しくて



「喜んで、マスター」


「・・・カイ、ト・・・・」


「俺のマスターは、貴女だけですから。」



貴方が望むなら、喜んで


最後のその一瞬も、その後でさえも、


俺は貴方だけの物ですから


言われた言葉に溢れた涙が

どんな感情で流れたのか


私には、分からなくて―――・・・・・








の狂ったコンチェルト
ごめんなさいとありがとうの狭間で揺れる、私はいつから狂ってたのだろう








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