歩み寄る先1 |
「キュキュキュ〜?ジェイ、お客さんキュ??」 「ジェイがお客さんを連れてくるなんて珍しいキュ!」 「お客さんじゃないよ、ピッポ、キュッポ。 彼女は、今日からこの家の家政婦になる、さん。」 「家政婦キュ? 家事なら、ちゃんと手は足りてるキュ」 「うん。ちょっと事情があってね・・・・」 何だかんだの話の成り行きで、ジェイの家まで来た。 そのお出迎えをしてくれた生き物たちに思わず固まる。 (カ、カワイイ!!生モフモフや〜!!) の膝に届くか届かないか位のふわふわで丸っこい生き物が、たくさん。 膝に乗っけてギュッとかしたら抱き心地が良さそうだ。 物珍しそうなつぶらな瞳を向けてくる丸っこくてフワフワのモフモフ族に 意識を奪われているうちに、どうやらジェイは話を終えたらしい。 「・・・話・・・しても平気ですか?」 「へ、あ、は、はい!」 ようやっと意識を戻したにジェイは一つ溜息。 そして、たくさん集まっているモフモフ族の中から、3匹を連れて来た。 一匹は赤い服、1匹は緑の服、もう1匹は黄色い服・・・ それぞれ個性の現れた服を着て、コチラを見上げてくる。 「こっちは、一緒の家に住んでいる・・・ 左から、キュッポ、ピッポ、ポッポです。」 「よろしくだキュ!」 「歓迎するキュ!!」 「キュキュキュ〜♪」 「です。宜しくお願いします」 自然零れる笑みを隠そうともせずに、 はその手を差し出す三匹のふわふわの手を そっと握り返した。 思ったとおり、その手はフワフワしていて気持ち良かった。 「洗濯物は、僕達のほうの分担で。 さんには、食事の準備を担当してもらいます。」 「了解っ」 ピッポ達が外に出ている間に、とジェイは今後の仕事分担を話し合う。 勢い良く頷いたに、ジェイは釘を刺した。 「掃除についてもさんに任せますが、 ゴミ袋に纏めてあるもの以外は捨てないで下さいよ? たまに重要な書類とかも混じってますから。」 「ん。気をつけます。」 言葉に所々トゲがあるが、そんな事も一々気にはしていられない。 成り行き上のこととは言え、仕事は仕事。 お金を貰うのであれば、それなりの働きをする必要がある。 「ところでさ、修行って結局の所、どうするの?」 話もそれなりに纏ったところで、尋ねる。 ジェイは、ああその事ですが・・・と、一枚の地図を取り出してきた。 小首をかしげるに、ジェイは一本の道筋を示す。 灯台の街、ウェルテスからU字を描くように伸びる道を・・・・ 「さんには、この道を通って 毎朝このモフモフ族の村まで来てもらいます。」 「・・・・あのー・・・ジェイ君?」 「なんです?」 「サラッと言ってくれたけどさ。 これ、結構な距離あるよ・・・・?」 なんでもない事の様に言ってはくれたが、 道筋としては、毎日通えるほどの距離ではない。 ゲームでは数時間にも満たないような道程ではあったけれど・・・ やっぱり、リアルとは違うと思うのね・・・? 引きつった笑いを浮かべて尋ねると、 ジェイは半眼でを見やった。 「言っておきますけど、 正午までにはちゃんと此処にたどり着いてくださいね?」 「ちょっ、ムリ!!」 いきなり何と言う無理な要求だろう。 言うと、更に呆れたような目で見られた。 「修行するんでしょう? コレくらいの事、まだまだ序の口ですよ。」 この位、慣れてしまえば何でもなくなってしまうのだから。 やるんですか?やらないんですか?と迫られれば、 やります・・・としか答えられない。 「初めのうちは、僕も付き添わせてもらいます。 慣れてきたら、ひとりで通うようにしましょう。 ・・幸い、この辺りなら魔物も然程強くないですし・・・」 「う、うん・・・・。」 最初のうちだけ・・・ それでも、彼が居るのは心強い。 がほっと胸をなでおろすと、ジェイは赤いペンで 地図上の3つのポイントに印をつけた。 読み上げるなら、 『MistyMountains』『Bandits’Lair』『CrystalForest』 この3箇所。 「コレは?」 「通う中で、一番危険を伴う箇所です。 特に、霧の山脈を抜けた辺りは山賊のアジトが近い・・・。 此処は避けて行くにしても、水晶の森辺りは避けられない。 特に注意が必要です。」 「わ、わかった・・・」 今更なのだが・・・ ひどく、怖くなってきた。 此処はゲームの世界ではない。 ゲームに良く似た、『現実』の世界だ。 命をかけて戦うことになる。 一歩間違えれば、ゲームオーバーだ。 リセットボタンも、コンテニューもない。 「・・・・・帰りにはダクトを使用してください。 夜の魔物は危険です。それと、 今日は少しその道を歩いてみましょう。 魔物に遭遇しても、僕が戦います。 それで、大体の魔物の強さもわかるでしょうから。」 そう、最後に付け加えたジェイ。 は、意外そうにその顔を直視する。 「・・・・なんです?」 「ぁ、いや・・。うん。わかった。」 なんだ・・・・ 言葉の節々にトゲがあるし、嫌みったらしいヤツだけど・・・ やはり、ゲーム内の性格と、同じような所がある (・・・優しいじゃん・・・やっぱり。) 怖気づいた自分を見て取って、 分かりにくい気遣い・・・・ 本当に分かりにくいし、不器用だけど、 間違いもなく、それは気遣いだ。 「それじゃぁ、 今後宜しくお願いしますよ。さん」 そう言って、其処で話を打ち切った。 その後、2人で実際にウェルテスまで戻ったは その道の長さと魔物との戦いに 次の日からの毎日にゲッソリする羽目になるのだが・・・ ― to be continue... ![]() 久々更新です〜;スミマセ・・・・orz モフモフがあんまり出てきた意味ないっ(汗 あ、ちなみにここで出てくる『モフモフ族の村』は、 まだ”秘密の地下道”にあります。 その内お引越しの予定。 そうすると・・・さんの修行はどうなるんだろ・・・・(考えてないんかい ![]() |