歩み寄る先5 |
「さん、どうぞだキュ」 「ありがとう、ピッポ君」 お茶の入った入れ物を差し出してくれるピッポに は口元が緩むのを感じながらソレを受け取った。 「さん、疲れてないキュ?」 「ん〜?」 お茶を早速頂いて喉を潤していると、 ポッポが心配そうに尋ねる。 どうしてそんなに心配そうなのか気になって、 は首をかしげた。 「ジェイとの修行でいつもさん、大変そうキュ・・・ それに加えてキュッポ兄さんとの修行で 疲れてないキュ??」 そんなに、ポッポは付足して説明してくれた。 はあっけらかんと笑う。 「あー全然大丈夫だよ! 最近は、私も体力ついてきたみたいだからさ、 そんなに大変じゃないの。 って・・そういえばジェイは??」 ジェイの名前が出てきて、フと気付く。 あの生意気少年が居ない。 辺りをきょろきょろ見渡してみるが、やはり居ない。 「ジェイなら、依頼人に手紙を出しに行ったキュ! 多分、そろそろ戻って来るキュ!!」 「そっか。」 ソレを聞いて、何処かホッとする自分が居る。 そんな自分を冷静に見つめて、なんだかなーと苦笑した。 「・・・さん・・」 「んっ?どうしたの、キュッポ君? なんだか沈んだ顔して・・」 「さんは、ジェイの事・・・キライキュ??」 「ナッ!?」 キュッポの突然の問いに、は慌てる。 結構前に、ジェイに『結構好きだし』とか言った事あるけど・・・ 突然言われるとこんなに焦るのか・・とか、少し反省する。 「ど、どうしたの?本当に・・・」 「ジェイは、さんには意地悪だキュ・・・」 「ピッポ達には優しいのに、 さんには冷たくするキュ・・・」 「ポッポ達、さんがジェイの事嫌いにならないか ずっと心配だったんだキュ・・・・」 一人ひとりが一生懸命に話してくれる。 あぁ、ジェイはコノ子達にこんなに好かれてるんだな・・・ なんとなく、羨ましかった。 こんなに自分を愛してくれる家族が居ること。 ピッポを抱き上げて、は微笑んだ。 「嫌いじゃないよ。 そりゃぁ、性格には大分問題ありだと思う。 ・・・でも・・悪いヤツじゃない。」 腕の中で、ピッポが安堵の息を吐くのを感じた。 「よかったキュ・・・」 「・・本当に、羨ましいな・・ジェイは・・」 「キュ??」 「あ、ううん。なんでもない」 呟きを首を振って否定して、は微笑んだ。 「ところでさん、 幾つか聞きたいキュ!」 「ん?」 持ち前に切り替えの速さなのか、 ポッポ君が明るい声で聞いてくる。 「さん、どこの国の出身キュ?」 「・・・・・へっ!!?」 あ、ヤバイ・・・ 背筋を、冷たい汗が流れた。 「さんの事、ジェイも知りたがってるキュ! でも、さんのことを知ってる人や情報が 少しも入ってこないんだキュ」 ホタテ3兄弟のつぶらな瞳がこちらを見つめる。 (こ、答えてやりたいのは山々だけど・・・) 日本の出身です!なんて、笑顔で言ってもわからないに決まっている。 「” ”っていう名前もすごく珍しいし、 格好も、ピッポ達は見たことも無いキュ!」 「どこの国かは分からないけれど、異国の歌を唄う歌姫が来たって 街でも、さんは有名キュ!」 「は、ははは・・・そ、そうなんだ・・・」 有名になっているとは知らなかった。 ・・・・が、正直参った。 こっちの大陸の名前なんて、自分は知らない。 「ぇ、えっとぉ・・・」 答えを探してワタワタしていると ピッポが突然言った。 「さん!ピッポ、さんの歌が聞いてみたいキュ!」 「え・・・」 突然、質問を変えて聞いてきたピッポに は驚く。 ピッポはニコリと笑った。 (あ、ありがとう!気遣い上手のピッポ君!!) 心の中で感涙して、はピッポを膝の上から下ろした。 「う、うん。そだね、 じゃぁ・・・何唄おうかな・・・・」 「明るい曲が良いキュ!」 「あ、うん、じゃあ明るいやつにしようか」 ポッポのリクエストに答えるべく、 は立ち上がり目を閉じた。 果てない草原を、澄んだ歌が響き渡る。 風が一際優しく吹いた 海の音が、何処か優しく聞こえて・・・ 誰もが、その優しく響く歌に耳を傾ける 制服のスカートを揺らす風が、伴奏のようだった。 ― to be continue... ![]() あ、アレ?? モフモフ夢??(滝汗 ![]() |