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歩み寄る先6 |
ジェイが戻ってくると、華楠とキュッポは休憩に入っていたらしく 4人は輪を作って和んでいた。 「華楠さんは、ジェイの事・・・キライキュ??」 「っ!」 声を掛けようと少し近づくと キュッポのそんな問いかけが聞こえてきて ジェイは思わず、近くの木の陰に隠れた。 (な、何聞いてるんだよ!キュッポ!!) 心の中で慌てていると、華楠もまた、慌てているようだった。 「ど、どうしたの?本当に・・・」 華楠の問いが聞こえてくる。 不本意だが、彼女の疑問に同意した。 「ジェイは、華楠さんには意地悪だキュ・・・」 い、意地悪って・・・ なんだか自分が子供みたいだ・・・ 「ピッポ達には優しいのに、 華楠さんには冷たくするキュ・・・」 冷たくしているつもりも・・・無いのだが・・・ 「ポッポ達、華楠さんがジェイの事嫌いにならないか ずっと心配だったんだキュ・・・・」 そんな事心配してたのか・・・ 少し呆れると共に、そんなに彼女への態度と モフモフのみんなへの態度は違うだろうか・・?なんて 少し考えてみる。 華楠が微笑みながらピッポを降ろす様を ジェイは何処か緊張しながら見つめた。 「・・・嫌いじゃないよ」 その答えに、ホッと安堵の息が漏れる。 (・・・・何、こんなに安心してるんだろ・・僕・・・) 関係ないはずだ、あんな少女。 横暴で、煩くて、トロくて、気が強い。 ある日勝手に弟子入りしてきて、 自分を『不可視のジェイ』である事を知っていて、 疑わしくて、家政婦と言う形でただ目の届く所に置いただけの少女。 関係ない。 別に、嫌われていようが、勝手に好意を寄せられていようが もし自分達に危害が及ぶ様なら、殺せば良い。 躊躇う事無く、彼女の体を貫けばいいだけの話だ。 ・・・・だけれども・・・・ 『私は絶対に、ジェイの大切な物を傷つけない。』 そう、真っ直ぐな目で言った華楠に 『もし私が約束を破った時には・・・ いつでも私を殺せるようにポケットの中で掴んでるその小刀で 私の事、殺して良いから。』 そう、自分の弱さを微笑んで指摘した彼女に 自分は何も言えなくて、動くことすら出来なかった。 彼女の真っ直ぐな視線に畏怖すら覚え 彼女の視線から抜けた後には、情けないけれど、腰が抜けた。 「・・・・わから・・・ない・・・よ・・・」 その事を、ピッポ達に話したことがある。 ピッポ達は、真剣に聞いてくれた。 けれども、答えまでは示してくれなかった。 『その答えは、きっといつか ジェイ自身が見つけることが出来るキュ!』 そう、微笑んだだけだった。 そう・・・そうだ。 モフモフのみんなもそうだ。 彼女みたいに、警戒心無く自分に接してくる。 初めの日から・・・ あの人が、自分に『死んで来い』と言った日から。 傷付いて倒れていた自分を 警戒心から、最初は彼等にすら刃を向けたのに・・ ソレだというのに、彼等は警戒心なく自分に接してくる。 分からない・・ それでも、今では自分も微笑んでいる 刃を向けたその詫びに、 自分を助けてくれたその礼に、 自分はモフモフの皆を守ろうと決めて・・・ 良く考えたら、分からない。 どうして、彼等も微笑むのか どうして、彼女も微笑むのか 自分は、何に対して怯えている・・・? 華楠に害は無い。 頭では理解している 邪魔をするのは過去の記憶だ。 「華楠さん、どこの国の出身キュ?」 華楠の事は、どんなに調べても情報が入らない。 どこの国の出身か、何時の生まれかも分からない。 今見ている彼女の事しか、分からない。 本当に、突然現れた少女。 「・・・う・・・た・・?」 フと、気付くと歌が聞こえてきた。 全てを包み込むような優しい歌声 凛と澄み渡る歌声。 華楠が唄っているらしかった。 「・・・そうやって居れば、まともに見えるんですよ。」 優しく微笑み歌う彼女は、太陽の光に照らされて 何処か輝いて見える。 もしもの時、自分は彼女に刃を向けられるだろうか―・・・・ 「あれ?ジェーイー! そこで何してんのー!?」 歌がやんで、今ではもう聞きなれてしまった声。 微笑んでこちらに手を振る彼女が居た。 明るく、悩みなんて吹っ飛ばすような・・・ (本当に・・唄っている時だけですね。 貴女がマトモに見えるのは。) 苦笑して、溜息。 それから足を踏み出した。 彼女に害は無い。わかっている。 もしもはあるかもしれない、来なければ良い。 自分も存外、彼女の事は嫌いじゃない だから・・・・ 「っジェイ!!!」 気付くと、華楠が焦ったようにこちらに向かっていた。 ピッポ達も、皆怖い顔してこちらに向かっている。 一つ、魔物の遠吠え 振り返れば、魔物がいて、自分が油断して 後ろを取られたのだと気づく。 「っ!!」 肉を断ち、血が滲む感触 土の匂いが、鼻をついた。 体に冷たい感触があって・・・・ 後ろでは、魔物の鳴き声と、武器が魔物の体に当たる鈍い音。 「ジェイ!!!」 誰か・・・ 少女の声が、自分を呼んだ。 ― to be continue... ![]() ジェイ視点! 何だかんだで嫌いじゃないんですよ、ジェイも。 んでもってジェイピンチ!! 次回へ続く!!(汗 ![]() |