歩み寄る先11 |
「う〜・・ん! 村も大分形作ってきたね!」 は重たい荷物を置いて、腰に手を当てた。 アレから更に数日が過ぎる。 新しい村は、すでにその形を作っていて、 モフモフらしいホタテ貝の家が立ち並び 自分の記憶が認知する形を作ってきていた。 引越しも、大きな移動は多分今日当たりに終わるだろう。 は、今後ウェルテスの街からダクトを使うことになっていた。 修行は、ポッポと進めることになるらしい。 けれども、以後は家政婦の仕事を中心の毎日だろう。 「それじゃぁ、これが最後の荷物?」 「キュ!」 水の中から出てきたキュッポとポッポ、ピッポを タオルでくるんでやり、船の上のジェイが頷く。 この数日間、本当に良く動いたが この荷物を運べば、あとは荷物整理だけ。 は、気合を入れなおして、最後のその荷物を持ち上げた。 ――メ"〜〜〜・・・ しかし、フとそこに鳴き声。 ――メ"〜〜〜〜〜・・・ ひとつの鳴き声。 ・・・・・・・・・ヤギの。 ――メ"〜〜〜・・・ 「へ?ヤギ?」 船から下りたジェイと顔を見合わせる。 あ、なんかすごく嫌な予感だね!と 2人引きつった笑いを浮かべながら。 ――メ"〜〜〜・・・!! ザッパァ!!!と水音を立てて出てきたのは ディノワームにも似た魔物。 「ヤギだキュ!!」 「んなワケあるかぁ!!!」 「だって、メーってないたキュ?」 「鳴き声に騙されたら食物連鎖の頂上には立てないんだよ!?」 純粋なのはいいことだけれど 天然の行き過ぎは時々困りものだと思う。 ・・たしか、ノーマ達とヤギを見たときも まだコレをヤギと信じていた。 違う! コレに比べたら、ヤギは数千倍もかわいいと思うよ!? そんな事を思いながら、は鉄扇を取り出す ――メ"〜〜〜〜〜〜〜・・・!!! だんだん鳴き声の荒くなってきた通称・ヤギに は鉄扇を向け、走る。 「苦無!」 横をヒュン!とジェイの小刀が通り過ぎ ヤギに直撃する。 爆発した爆煙の中、は突き進み ヤギの体を切り裂いた。 ヤギはけたたましい声を上げて 海の中へ逃げて言った。 水に溶ける血の跡が、結構深い傷であった事を物語る。 「な、なんだったのよ・・・一体・・・」 「・・・・あとで、詳しい生態は調べてみましょう」 「そだね・・ んじゃま、とりあえずは撃退ってことで、 引越しを済ませちゃおっか」 暫く呆然としたものの気を取り直して 2人は荷物を持ち直す。 キュッポ達は、自分達の服を来ながら 後ろで、何かをゴソゴソと準備していた。 「引越し完了〜〜〜〜〜!!!」 「煩いですね・・・もう少し静かにして下さいよ」 荷物を村の中に入れると、 は大声で叫んだ。 ジェイは迷惑そうに言うものの、 顔までは不機嫌になりきれてない。 とりあえず、2人はその場に座り込んだ。 日ごろの疲れが、気の抜けた途端に ドッと出てきたのだ。 「流石に、村の全体移動は疲れましたね・・・」 「だねぇ・・お疲れ様、ジェイ。」 「さんにも、一応お疲れ様とでも言っておきますよ。」 「はいはい。ありがとネ」 ジェイの不器用さにも慣れてきて、 は微笑んで返した。 「ジェイ!さん!!」 「「ん??」」 後ろで、複数のモフモフの声がした。 何事だろう?振り返る。 みんなが笑顔でこちらを見ていた。 「コレを、頑張ってくれた2人にプレゼントだキュ!」 そう言って、たくさんのモフモフの中から、 ピッポが2人に一つ一つ渡す。 「これ・・・・」 「・・?ブレスレット?」 綺麗な丸い石がたくさん通ったブレスレット。 チャームは小さな貝殻で、ジェイとお揃いの様だ。 「わー、可愛いねぇ」 「っこれ、ジェミニシェルじゃないか!!」 ほのぼのと微笑んだとは逆に ジェイは慌てたように言った。 ・・・・・ 一瞬の、間 「ジェミニシェル!!?」 え、何、このカワイイのが!? イメージとしては、普通にホタテ貝の貝殻みたいな・・ あんな感じのを想像していたのだが・・・? 「ちょ、コレ!!みんな!!?」 ジェイが慌てたように言う。 は、論点違う方向で驚いている。 キュッポがニコニコと言った。 「ジェミニシェルは、仲良し同士に意味を持つ 縁結びの貝殻だキュ!」 「ぇ、縁結び・・・っ!?」 その言葉に、も驚く。 一応も知っていたはずなのだが その見た目に驚いていて、その効果の程は すっかりと頭から消えていたのだ。 思い出して、少し慌てる。 いや、確かに最近ジェイとは打ち解けてきたけれども・・ 流石に、縁結びとは・・・・・ 「み、みんなの気持ちは嬉しいけど 流石にジェミニシェルは・・・って、さん!!?」 顔を赤くして返そうとしたジェイとは逆に は、そのブレスレットを、この世界に来てから随分細くなった腕に嵌めた。 「話し聞いてたんですか!? これは縁結びの―・・・・」 「いーじゃん?別にさ」 「なっ!?」 慌て続けるジェイに、は そのブレスレットを嵌めた腕を見せ付けるように顔の横につけて ニッと笑った。 「縁は結ばれないにしてもさ、 ジェイとは・・仲良くなりたいから。・・・・ね?」 言って、微笑む。 それに負けて、ジェイも渋々おずおずと、自らの腕に 小さく光るブレスレットを嵌めた。 「・・・・これで、いいの?」 「キュキュキュ〜!!」 嬉しそうに、皆が笑う。 そして、ポッポがもう一つ、今度はにのみ包みを渡してきた。 「これは?」 「もう一つ、さんにプレゼントキュ!」 丁寧に包まれた、ソレ。 みんなの視線に包まれる中で、少しだけ緊張した。 慌てながら、丁寧にその包みを解いていく。 「わっぁ・・・・!!服だ!!」 包みの中は、この世界の服だった。 「さんの着てる服、ボロボロになったキュ・・・ だから、ソレはポッポ達からさんへのプレゼントキュ!!」 確かに、この世界に来てから約1ヶ月半。 制服は、まだ数ヶ月しか着てないのにボロボロだ。 あちこちで血が滲み、泥が付き、草の緑が擦れている。 可愛い制服も見るも無残だ。 「是非とも、着てみてほしいキュ!!」 「・・・家で、着てきたらどうです?」 ジェイに言われたのは驚いたが、 皆の期待の視線。 耐え切れなくて、は「そだね」と頷いて 新しい彼等の家へ向かった。 「・・・あげすぎじゃない? キュッポ、ピッポ、ポッポ・・」 彼女の消えた方向を見つめ、ジェイが言う。 3兄弟は、首を横に振った。 「そんな事ないキュ!」 「アレは、お礼の印だキュ!!」 「たくさんの、ありがとうの証だキュ!!」 「お礼?なんの??」 その言葉に、3人はただ微笑んでいた。 そう、これはお礼だ。 いつも頑張ってくれるジェイに そして―・・・・ 「着てみたよー? 着方、これで合ってるかなぁ?」 そう言って、胸元を押さえる。 薄いグリーンのマーメイドドレスに、皮のベストを羽織って。 スカートは裾の部分をグリーンの宝石のブローチで止めている。 長いオレンジに近い色をした茶の髪は、 同じくグリーンの宝石をあしらったリボンでとめて・・・・ いつかはこっちの世界の服を着なくてはと思っていたものの、 抵抗感が抜けず結局着られずに居たのだが・・・ デザイン的には好きだ、すごく。 でもこのスカートの裾、短い所はかなーり短い。 だ、ダメだ・・・! 貰い物だから身に付けたいんだけど、心身もたない気がする!! 「良かったキュ〜!すごく似合ってるキュ!!」 「え・・・あ・・・そ、そう・・・?」 ・・・・今更『やっぱり着られません』は無理そうだ・・・ みんなのキラキラの眼差しにはどうしても勝てそうにない。 「・・・どんなもんよ・・・?ジェイ・・・」 「な、なんで僕に聞くんですかっ」 「話の流れ的に、何となく・・・」 なんだそれは!?と突っ込んで、ジェイはのほうをチラリと見ると すぐにソッポを向いてしまった。 「〜〜〜いいんじゃないですか!」 赤面して言われた言葉。 は、「そっか・・・」とだけ言って、微笑んだ。 そっか・・・それなら、仕方ないか。 「それじゃあ、ありがたく使わせてもらうね! ありがとう!みんな!!」 そう、これはお礼 いつも頑張ってくれるジェイに そして―・・・・ ジェイの表情を豊かにしてくれた、への 感謝の印―・・・・ ― to be continue... ![]() や、やっとゲーム沿いに入れそう・・・なのですがっ!!滝汗 書き溜めてたストックがもうほとんど無いです♪コラ また書き溜めなくては・・・・;; ![]() |