始まりの光5 |
「だから!お金ならあるって言ってるでしょ!?」 「そうは言ってもねぇ、嬢ちゃん。 船なんか貸した所で、嬢ちゃん一人じゃ、危なくて乗れないだろう? だれか、大人の人でもついてるのかい?」 内海港にて。 一人の幼い少女が、 船乗りのおっちゃんと言い合いをしていた。 ソレを見つけたは、口端を吊り上げて笑い その2人に近づいていく。 「それなら問題ないよ。 この子には、私がついてるから」 は、その少女・・・ハリエットの肩に手を置き 笑顔でおっちゃんに言う。 「安心してよ、私の知り合いに、操縦免許持ってる奴が居るの。」 どう?と問いかけるとおっちゃんは そうゆうことなら・・・と頷いた。 ただし、エンジンがヤバイから気をつけろ。とのコトだ。 後に残ったハリエットは、を見つめる 「あ、ありがとう・・・」 「どういたしまして。 セネルに、船を貸すんでしょ?」 「えっ!?ど、どうしてソレを・・・・!!?」 「うー・・・ん・・。 どうしてと聞かれると、困っちゃうなぁ・・・・。 んっとね、私もある人に頼まれて、セネルたちに 船を貸してあげたいの。」 「ふぅん? つまり、目的が一緒だから手を貸した・・・ってワケね。」 「まあ・・・・そうゆう事・・・かな。 ダメかな?」 「・・・・いいわ。誰だかわからないけど、 悪い人では、ないみたいだし」 ・・・・本当に大人びてるね・・貴女・・・。 けれども、話が早い。 「よかった。そう言ってもらえて。 私は。って呼んで?」 「?変わった名前ね・・・。 私はハリエットよ。呼びにくかったら、ハティで構わないわ。」 そう言って笑んだハティに、思わずクスリと笑みを漏らした。 「・・・・よろしくね、ハティ」 それから、ハティを船の船室に残しては一旦 灯台の街へと戻る。 ジェイに協力してほしいといわれたのは ウィルたちとセネルの案内だ。 暫くすれば、ウィルたちが最初に現れるだろうが・・・ 噴水広場で待っている間暇なので、歌でも唄っていた。 通り過ぎる人々が、微笑ましそうに見て通り過ぎる 「お、来た来た」 丁度唄い終わった時、 噴水広場にクロエとウィルの姿が見える。 やはり、セネル達とは仲間割れしてしまったらしい。 見えた姿は2人だけだった。 辺りをキョロキョロ見回して不可視のジェイの情報を探している 2人に、はひょいっと近づいていく。 「ウィールさんっ♪」 「!か・・・・ どうかしたのか?話しかけてくるなど珍しい」 声を掛けると驚いたようにウィルは振り向いた。 「ウィル・・・知り合いか?」 クロエが不思議そうに聞いてくる。 はニコリと微笑んだ 「といいます。 街で歌姫をしています」 「歌姫・・・・・か。聞いたことがあるな。 たしか、異国の歌を唄う・・・とか・・・・。」 おー・・・・クロエが自分の事知ってたよ・・・ 一応ハジメマシテになるのに・・・なんだか、不思議な感じだ。 自分は彼女を知っていて、彼女もまた、自分を知っている・・・ 「私は、クロエ・ヴァレンスだ。 ・・・で、いいかな・・・?よろしく頼む」 言って、クロエが右手を差し出してくる。 も、スっと手を差し出してその手を握った。 「うん。それで良いよ。 よろしく、クロエ」 「・・・・。不可視のジェイからの情報を待っているのだが・・・・ ソレらしいものを見なかったか?」 ウィルに聞かれて、ああそうだった!とでも言うように 手を叩いて見せた。 「そうそう、忘れる所だった。 2人に伝言を頼まれたんだ」 「伝言?なんだ?」 2人に、ジェイにいわれたとおりの言葉を伝える。 ・・・とは言っても、大袈裟なものではなくて、 ただ一言、『内海港に来い』と、それだけだ 「内海港・・・・か。 何があるかは知らんが、行って見るしかないな」 ウィルが、顎に手を当てて考えるように言う。 クロエも、真剣そうに頷いて見せた。 「ああ。一応、必要な買い物を済ませてから行こう。 ・・・・、すまないな」 「いえいえ。街の外に出るなら、気をつけてね」 「ああ。」 言って、2人の後姿を見送る。 仕事は、それだけに終わらない。 も大急ぎで内海港に向かう。 大忙しも良い所だ。 街の外に出ると、内海港へダッシュして 港に着いたら、ウィル達の後ろをバレないようにすり抜けて ハティの待つ船へと向かう。 「ハティ、大丈夫!?もうちょっとだけ待っててね?」 「んもぅ、セネル君たちはまだ!? ハティ、待ちくたびれちゃったわ」 「もうちょっと!もうちょっとだから!ね?」 さっき見て来た限りでは、 ジェイがウィル達を小船に乗せようとするところだった。 だから、本当にあと少しなのだが・・・・ 後ろで、ドゴンっ!!とすごい音がした。 振り返れば、上で隠れていたセネルとノーマが喧嘩している様で そのうちに、ジェイたちの小船は出て行ってしまった。 最後に、ジェイが『上手くやってくださいよ』と 目配せしていくのが分かった。 わかったよ、もう・・・・と溜息をついて はハティに告げた 「セネル達を呼んでくるから、待ててね」 「早くしてよ?」 不機嫌そうにハティに言われて、 先に出てしまったウィル達の船を見つめて項垂れたり 喧嘩したりする2人の元に駆ける。 「セーネルっ、どうしたの?こんな所で」 ポンッと肩を叩いて声を掛ける。 セネルが驚いたように顔を上げた。 「!なんでこんな所に・・・」 「それはこっちのセリフだって。 なんでセネルがこんな所に・・・・? そっちの子は・・・妹さん?」 違うと分かってはいるのだが、尋ねてみる。 セネルは嫌そうに首を横に振った。 「違う。こんな煩いやつ、シャーリィじゃない」 「なんだとー!?」 ノーマが地団太を踏み、 また今にもブレスをかましそうだ。 セネルが、ウィル探しが先決だろうとか何とか言って またやっとのことでノーマを沈める。 「・・・も、達の悪い冗談は辞めてくれ・・・」 「はいはい。スミマセンデシタ。 っと・・・・はじめまして。 私はといいます」 「ああ、知ってる知ってる。 灯台の街の歌姫でしょー?ちょー有名人じゃん」 えっ・・・そんなに有名人だったのか・・・・? クロエもノーマの、よくまあ知っているものだ・・。 思わず驚きながらも、顔は出来るだけポーカーフェイスで。 「あたしはノーマ・ビアッティよ。 よろしくねー♪」 「あ、う、うん。よろしく」 ・・・って・・・・ ネーミング娘にあだ名を付けられてしまった、なんか嬉しいかも・・・とか また意識はどうでも良い方向にトリップして、 それから、意識を引きずり戻す 「あ、それでなんか困ってたみたいだけど・・・どうしたの?」 尋ねると、セネルが途方にくれたような声を出す 「ああ、それなんだが・・・ 先に行ったウィル達の船を追いかけたいんだ。」 「ウィルさんたちの? なんだ、早く言ってよ。 だったら、私の船を使ったらいいよ」 「の?」 「うん。正確には、レンタルしたヤツなんだけど・・・ 使ったら良いよ。私も、対岸に行きたいんだけど 操縦士いなくて困ってた所だし・・・・」 「対岸なら、目的地は同じだ! 操縦なら任せろ!」 セネルが、晴れやかな顔をして言う。 「さっすがマリントルーパー! 頼れる〜♪」 ノーマが冷やかすように言って、 「そっか。ならコッチに来て」 「ああ!」 とセネルは無視するように歩く。 ノーマが後ろでブーブー文句を言っていた。 「この船だよ」 が言って、最初に借りておいた船に案内して セネルは早速、出発の準備に取り掛かる。 そういえば・・・と思って船室を覗き込んだら ハティは待ちくたびれたのか寝てしまっていて 申し訳ないながらも、そのまま寝かせておいた。 そのうちに、準備が出来たのかノーマの明るい声がする。 「いよお〜し! 出発、しんこ〜!!!」 「よーし、行け行け〜!!」 ノーマのノリにあわせて 拳を上に突き上げる。 エンジン音と共に、船が動き出した。 「あ、そうそう。 エンジンがヘタリ気味だから、 あんまりムリさせないでね!?」 潮風に流されないように、声を張り上げた。 『ああ、それと、ウィルさんと マリントルーパーの人は仲間割れ中だそうです。 ウィルさんに伝言を伝えたら、セネルさんたちも 誘導してやってください』 『なんでまたそんな事を・・・・』 『あのマリントルーパーのお兄さん、 光の柱について、それと・・・メルネスについて・・・ 何かを知っていそうなんですよね』 言ってジェイは、ニコリと笑った。 ― to be continue... |