炒めエレンギがブヨブヨ言いながらその場に倒れ モーゼスが満足そうに見下ろす。 いつものヒョオオォ!な雄たけびを上げながら。 「勝利の舞いじゃああぁ!ワイに続けえぇ!!」 「「無茶を言うな!!」」 「・・・じゃあ私、続こうかな」 「本気か!?」 「いや、冗談。」 言ったら、微妙にしょげるモーゼスがいたり。 |
運命の再会2 |
「それじゃあ皆さんいってらっしゃい」 「何馬鹿な事言うちょるんじゃ。 ワレもさっさと来んかい。」 モーゼスに馬鹿って言われた・・・ ニッコリと手を振ったままの体勢で、は固まる。 心中察したようにセネル達が哀れんだ目で見てるのが とりあえずわかった。 「ま、まあほら、私の事は気にしないで皆で行って来てよ。 私ここで待ってるからさ。」 「こんな所で待っていてどうする気だ? 魔物だらけな挙句に誰も通らないぞ。」 「いや、そうなんだけどさぁ・・・」 「ー、いい加減観念しちゃいなってぇ。」 「無理です!皆さんそれではお達者で!!」 「待たんかいワレ!!」 「いやあああぁ離してええぇぇ変態ー!痴漢ーーー!!」 「だれが変態じゃ!!!」 只今場所は、巨大風穴。 状況は、皆がエレベーターに乗っているのに 一人が駄々を捏ねてる状況。 いい加減見かねて、モーゼスが強行突破に出る。 「うわああん!モーゼスのバカー!!人でなしー!!! 私は此処に残るって言ってんのにい!!」 「じゃーかしいわ! 高所恐怖症くらいでガタガタ抜かすな!!」 「何言ってんの!高い所は落ちたら死ぬのよ!!」 なめて掛かったら痛い目処でなく痛い目見るのよ!! って言うかジェイもジェイだ! 私が高い所苦手だって知ってるくせに!! いや本人に苦手ですとは言ってないけどジェイなら知ってそうって話だけど!! って言うか巨大風穴がどういう場所か忘れてた自分も馬鹿なんだけど!!!! 「ねー、そろそろコレ、下に降ろしてもいーい?」 ノーマが、いい加減痺れを切らしたように問う。 全員の目が、此方を向いた。 「・・・・構わん、動かしてくれ、ノーマ」 「りょうかーい」 「ちょ、ちょ、駄目だって・・・きゃああぁ!!」 途端、浮遊感が襲う。 なんかもうほぼ半泣きで、モーゼスにしがみ付いた。 「あーあ、モーすけってば、 あとでジェージェーに殺されるね。」 「なっ嬢が勝手に抱きついてきちょるんじゃ!!」 「鼻の下が伸びてるぞ、モーゼス」 「最低だな。」 「なんでワイなんじゃ!!!」 申し訳ないとは思うけれども、こっちだって必死なんだ。 許せ、モーゼス。 道中は、が途中狭い道になると「無理だ!」と喚きだし モーゼスが担ぎ上げて強制連行というような事を繰り返しながら とにかく突き進み、事難なくどうにか地面に足をつけた。 その頃には、モーゼスもも、とにかくグッタリで。 「・・・私もう地面から離れたくない・・・」 「ワイも、嬢のお守はたくさんじゃ・・・」 「もモーすけも、見てるほうからすれば 結構楽しかったけどなー」 「「楽しむな!!」」 モーゼスと声が揃った。 それから、ノーマはキョロキョロと、流れる水を見渡しながら それよりさぁ、と呟く。 「川の幅が広くなって、泳がないと行けなくなったりして?」 「不吉な事を言わないでくれ!!」 ノーマはカラカラと笑っていたが、 クロエは後ずさって慌てたように言い返す。 その様子に、あ、そっか。クロエってばカナヅチだ、とか思い出した。 「どったの?慌てて。」 「あ、いや。」 慌てて首を横に振るが、それにしても怪しい。 本当にこれで、今まで誰にもバレなかったのかと疑問に思う。 事情を知っているセネルに、「何だその顔は」とか絡んでいたが 「生まれつきだ。」と交わされていた。 「ままま、そんな事が無ければ良いけどねぇ」 があはは・・と笑って入ると、 クロエは不服そうに「そうだな・・・」と呟いた。 「やっぱ、仲直りできてんじゃん。」 「「できてない!!」」 そんな様子を見てか、ノーマが頭を掻いて言うと、 2人の声は見事に揃った。 仲良さそうですけどね、とか思うんだけれど なんか、2人がすごい勢いだったから、ああそうですか、と返しておいた。 その後、もう少し先に進んで開けた場所まで来たら、 唐突にウィルが湖の向こう側を指差す。 「みんな、あれを見てみろ!!」 言うが早いかウィルは走り出し、嬉々として辺りを見渡す。 地面に埋まっているのは巨大な骨で、 はうえぇと顔を顰めた。 「巨大生物の骨が、こんなにもたくさん! 一体、何の骨だ・・?」 そして、しばらくその骨を眺めたり触ったりすると 唐突にハッとした様な叫びを上げる。 「これは・・!信じられん!!」 「何こ〜ふんしてんの、ウィルっち?」 「ここにある骨は、全てグランゲートのものだ!!」 「ぐらんげーと?」 が首を傾げる。 クロエが記憶を手繰るような口調で 「確かゲートの・・・」と呟くのが聞こえる。 それを耳聡く聞いたらしいウィルは 声も高々に説明してくれた。 「そう!万獣の王ゲートの陸生種だ! 目撃情報すら殆ど無い、幻の生物!!」 「へ〜。」 「すごいんだぁ」 興味無さそうなノーマの声と、 何となく感嘆としたの声。 そんなの呟きに「すごいなんてモンじゃない!」と 掴み掛からんばかりの勢いのウィル。 「これだけの量があれば、 きっと全身の標本が手に入るぞ!」 「え、う、う、うん?」 「グランゲートの全身骨格標本など 世界中のどの博物館にも無い宝物だぞ!!?」 「はあ・・・・」 そんな事を言われても・・・ こんなに感動が薄いのは自分だけだろうかと思って 周りを見渡したら、結構皆、同じような反応だった。 「情けないぞお前たち! 博物学の一大発見に立ち会っておきながら!!」 「・・・学者バカってな、どいつもこいつも・・・」 呆れたようなノーマの呟きだったが、 モーゼスは唐突に会話の輪に入ってきた。 曰く、ウィルの気持ちはよく分かる、と。 「わかるか、モーゼス!」 「オウ!ワイも昔っから ゲートに会いたい思っとったんじゃ!!」 「よく言ったモーゼス! お前には見所があるぞ!!」 「出来れば海におる奴のが良かったんじゃがの。 この際、えり好みはしちょれんわ。」 「うむ!」 「・・・ねねね、ノーマ。 モーゼスが博物学に興味あるなんて、聞いたことある?」 「いや・・全然。っていうか なーんか雲行きが怪しいんだよねぇ。」 すっかり意気投合している2人にアレェ?とか思ってノーマに詰め寄る。 ノーマは腕を組んで、なんか引き攣った笑いを浮かべていて、 は首を傾げた。 モーゼスは、骨より生身のゲートが見たいと言い出し ウィルは「オレだって・・・」と肩を落とす。 「ワイの一族に伝わる話じゃあ 聖爪術はゲートに認められることで手に入るんじゃ。 元はと言やあ、ワイはゲートに会うためにこの遺跡船に来たようなもんじゃ!」 ・・・・あれ? 「グランゲートの生態を調べて、 学会で発表したい物だ・・・」 ・・・・あれれ? 「同じ話題で盛り上がってるよ〜で、 実は全然、話しかみ合ってないね。」 「うん・・・」 「まあホラ、良いんじゃない? 当人同士は満足してるんだし。」 その時、何かモフモフした手が背中を叩く感触がした。 驚いて振り返れば、よく見慣れた、黄色いモフモフ族。 「皆さん、よく来てくれたキュ!」 「ポッポ君!」 「ちぃ〜〜っす、ポっちん!」 「俺たちの為に、此処で待っててくれたって?悪いな。」 セネルが笑んで言う。 すると、ポッポは首を横に振り、 むしろ自分の方が感謝する、と言った。 その言葉に、一同が何の話かと首を傾げれば 「ポッポの工房は、向こうにあるキュ! 先に行って待ってるキュ!」 そう言って、止める間も無く行ってしまった。 なんだったけかな?と首を傾げる。 何かここで、大切な事があった気がするんだが・・・ 何か・・・何か・・・ 「何・・・か・・・・」 ・・・・・あれ? 地底湖で、雪花の遺跡で、ポッポ君・・・・? 「ああああああぁぁああぁああ!!しまったああああぁぁ!!!」 「うわあ!!?な、なんだ?どうしたんだよ、!?」 「私としたことが、なんで忘れてたのよバカ!!」 セネルとかウィルとかが何だ何だ何事だ?と見てるけれども 一々気にもしていられない。 そうだ此処は、この場面は!! ポッポ君の有・人・実・験!!! シャレにならない!シャレにならないから!!! 「な、なんかよく分からないが・・・ とにかく、ポッポのところに行って見ないか? そうじゃないと、話も進まないし・・・・」 ソウデスネ・・・ なんかもう、最近ちょっと物忘れじゃ片付かない所まで 記憶力が危機的状況に来てる気がして、 ガクリと肩を落として、は頷いた。 なんだろう、私ってば、アルツハイマー・・・? |