運命の再会3 |
「何じゃい、このデカブツは。」 ポッポの工房の中で真っ先に目に付いたその物体について、 モーゼスは真っ先に問いかける。 アレだ。間違いなくアレだ。 ゲーム内で目的地に付くと同時に沈んだ潜水艦だ。 「これが、皆さんに乗ってもらう、ポッポ三世号だキュ! 水の中ならお任せだキュ!!」 ポッポの言葉に一同が固まった。 「み・・・」 「水の中ぁ!!?」 ノーマよりも真っ先に声を上げるクロエ。 皆の視線を受けてワザとらしく咳き込んで見せるが、 流石にわざとらし過ぎる。 「あ、え、えっとそれで?ポッポ君?」 「そうだキュ!有人実験を申し出てくれるなんて、嬉しいキュ。 キュキュキュ!!」 「・・・は。」 話を促したにポッポは嬉しそうに体を揺らして答えて、 その答えに、ウィルが顔を顰めて「話が食い違っている」と主張した。 「オレ達がここに来たのは、雪花の遺跡に潜入するためだぞ。」 「だから、ポッポ三世号に乗るんだキュ?」 首を傾げる一同に、ポッポはああ、と納得したように ニッコリと笑って見せた。 「入り口があるのは、地底湖の中だキュ」 「!」 「な・・・・」 「何だってぇ!!?」 ・・・・・。 またしてもクロエがノーマの台詞を横取る。 流石に2回目ともなると不服なのか、ノーマは あたしの役取らないでよぉ、と不満を垂れる。 クロエが慌てたように小さな声で「すまない」と言うのが聞こえて、 セネルは、いち早く話に修正を入れた。 「つまり、ポッポ三世号を使わないと、 雪花の遺跡に入れないんだな?」 「キュ。」 「ジェイめ・・・やってくれたな。 確かに命懸けだ。」 「失敗したら、やり直し聞かないもんねえ。」 悔しそうに言うウィルと頭を掻くノーマ。 うーん・・・とが唸ると、何故か、一同の視線を受けた。 「え、な、何?」 「いや、の事だ、もしかしたらジェイの目論見も 知っていたのではないかと思ってな。」 「な、なんで私が・・・?」 「だぁって、ジェージェーの弟子でしょ?」 「いや、弟子って言うか何かもう既に単なる助手って言うか召使って言うか・・・ つかあの、なんで私が睨まれてるんですかね。」 確かに弟子だけどさ。 確かに弟子なんだけどさ!! いやあの、知ってたけど知らなかったって言うか あの、そんな睨まないでくれませんかね・・・ 「あの・・・どうもスミマセンデシタ・・・・」 みんなの視線に堪えかねて、結局が謝った。 くそぅ。次に会ったら覚えてろよジェイめ・・・ その後、ポッポ三世号の成功確立が1割とか言うとんでもない数字を開示されて 一同軽くパニックになったりもしたが、グランゲートの角があれば 多少成功確立をあげる事ができると聞いて。 で、今現在、ポッポ曰く『雄雄しき者』の骨を、漁っていたりする。 「うーん・・うーん・・・骨ー骨ー冠状の角ー・・・」 「何の呪文だ・・・」 「だってさぁ、骨漁りを黙々とって・・・ なんか変な宗教団体みたいじゃないの・・・」 「いや、さっきのも相当危なかったぞ、色々と。」 なんか呪われそうだった。 セネルに言われて、うっと言葉に詰まる。 いや、それでもさあ。 やっぱり黙々と骨漁りはいかんと思うのよ。うん。 「それにしてもさあ、骨はたくさん落ちてっけど、 王冠型の角なんて見つかんないじゃん。」 ノーマがぼやく。 隣にいたギートに、犬だから鼻は効くだろうとか言い出して ギートは犬じゃないとモーゼスに怒られた。 「似たようなもんじゃないの?」 「ちゃうわ!!」 あれ?と首を傾げて。 モーゼスに怒鳴られて、気付くと、ノーマとギートがいない。 「あ〜!見つけたあ!!」 「え?」 何処に消えた?とキョロキョロすれば、更に奥のほうに2人は立っていて、 その目の前には、王冠型の角・・・付けた、大きなグランゲートの体。 ・・ねえ、アレって生きてんじゃないの? 「ね〜見てよ!王冠型の角ってこれの事じゃない?」 「「「ノーマ!!」」」 その時、グランゲートの体がゆっくりと持ち上がり 揺ら揺らと、ノーマの後ろで揺れる。 「んん〜?」 「後ろ!!」 「何真剣なふりしてんの? からかおうったって、その手には・・・」 「からかってない!からかってないから!!」 まったく真剣に受止めてくれないノーマに が必死に訴えて。 ノーマの顔が、引き攣る。 「う。何処からとも無く、生暖かくて生臭〜い風邪が・・・」 おそるおそる、振り返る。 ようやくノーマが、その姿をきちんと捉えた。 「もしかして、グランゲートさん?」 「もしかしなくてもそうだから!」 「ノーマ、早くこっちへ!」 「これは・・・あたしが悪いんじゃないよね?」 は・・・ははは・・と、取り乱したように笑って、 何を思ったか、振り返って「ドモドモ」と挨拶をする。 一歩、二歩とゆっくり後ずさった。 その時、ヒョオオオ!!と、あの、不吉な雄たけび。 モーゼスがグランゲートの元へと走り出し、 ノーマが何騒いでるんだと怒鳴りつける。 けれども、モーゼスは全く持って聞いていない。 それどころか、自分は聖爪術を探してるモーゼスだと名乗りを上げる。 「ワレに認められりゃあ、聖爪術が手に入るんじゃな!?」 「ちょっと!?」 そして、それこそ何を思ったか。 グランゲートに向かって、槍を投げつけた。 瞬間、固まる一同。 ・・・コイツ、やりやがった・・・。 気を荒くしたグランゲートが、その槍に余計に猛り一つの咆哮。 肌を痛いほどに振動させて撫ですぎる風。 ノーマが叫んで尻餅をついた。 「な、何やってんのよモーゼス!!」 皆が走り寄る。 「力試しじゃ!掛かってこんかあ!!」 「何でそ〜なるのよ!!」 話を聞いていないモーゼスは一人突っ走って、 陣形は崩れたままグランゲートが飛び掛ってくるのを 危うい所で避ける。 「バカモーゼス!なんてことを!!」 「ヒョオオォォ!!」 「聞けええ!!」 無駄だ。 この馬鹿ほんとうに何を言っても無駄だ。 そんな事をしている間に、クロエとセネルが前線に立ち ウィルとノーマが後方でブレス支援をする。 ああもう、っと頭を乱暴に掻いて、 スッと、鉄扇を前方に構えた。 「くっそ・・あとで覚えてろよ・・・モーゼス・・・!! ・・・爆ぜろ!」 ファイアストーム!! の爪が光り、グランゲートの足元が赤く湧き上がる。 痛みにか雄たけびを上げるゲートにクロエがすかさず霧沙雨を繰り出して 合間を縫うようにして、セネルが技を繰り出した。 そうこうしている間にもウィルとノーマのブレスが決まり 体勢を崩したゲートの元にモーゼスの槍が降り注ぐ 形成は、此方に有利にあった。 「あと一押し・・・!」 けれども、ゲートの瞳が鋭く光る。 瞬間、体に何かがぶち当たって、呼吸が暫く止まった。 目の前が真っ暗になって、上も下も分からなくなった。 ようやく、ガードをするひまも無くまともにゲートの尻尾を喰らったのだと分かったのは どうすることも出来ずに、湖の中に落ちたときだった。 「!!」 誰かが、自分の名を呼んだ。 ああ、早く上に上がらなくちゃと思うけれども 体は一寸も動く事が無く錘でも付いてるみたいに 下へ下へと沈んでいく。 ぼんやり見上げた水面が、ゆらゆらと光を弾いていて綺麗だった。 ―― ああ、まただ。 また、苦しくもなんとも無い。 けれども、意識は蝕まれるように沈んでいく。 水が、蒼く光っていて・・・ 嗚呼、綺麗だ・・・ 「っ!!!」 遠退く意識の中で、誰かが力強く、自分の体を引き寄せた。 |