運命の再会4 |
「・・・・う・・・痛ったぁ・・・・」 「ああ、さん。目が覚めましたか?」 体の鈍い痛みに目を覚ました。 ぼんやりと視界を開けば、ジェイの姿が目に入る。 「ジェイ!?・・・イッタタタタ!!?」 起き上がろうとしたら、体の痛みが邪魔した。 嫌が応もなく、再び体が横になる。 見ると、現在いるのはポッポの工房の中で、 その隅に敷いた簡単な寝具の上に、自分は寝かされているらしかった。 「あまり無理しないほうがいいですよ。 見事にグランゲートの尻尾を喰らっていたそうですから。」 「う"・・・」 嫌味の一つ二つでも言われるか!?とか思ったけれども 思いがけず、ジェイは近づいてくると、の額に手を乗せた。 ひんやりとした手が、気持ち良い。 「熱は・・・引いているみたいですね。」 「はえ?」 「貴女、さっきまで熱出してたんですよ。 ・・・覚えてないんですか?」 「覚えてるも何も、さっきまで私、思いっきり寝てたんですが。」 「何言ってるんです?一回起きたじゃないですか。」 「は?」 怪訝そうに、ジェイ。 いや、むしろそんな顔をしたいのは自分なんだけれども・・・ 「セネルさん達に運ばれて此処に着たかと思ったらいきなり起き上がって、 『なんでお前の説明不足の責任を私が取らなくちゃいけいないんだ〜!!』って。 ・・・・一体どういう神経してるんですか。」 「は・・・ははは・・は・・・マジですか。」 多分よっぽどムカついてたんじゃないかなぁ。 流石にそんな事は言えないけれども。 ジェイは、呆れた様に溜息をついた。 「それよりさん。 貴女、何かブレスの無効化の装飾とかつけてますか?」 「ん?いや、全然つけてないけど・・・」 むしろ私、この世界で装備を整えた事、一回もなくないか・・・? 「ふん?可笑しいですね。 ノーマさん達がブレスを掛け様としたんですけど 全く掛からなかったんですよ。」 「あ、だからこんなに体が痛いんだ・・・」 一瞬、なんて白状なんだ回復もしてくれないなんて・・・とか思ったんだけれども どうやらそういう事だったらしい。 けれども、なんでだろう? 全く身に覚えが無い。 「・・・キュア」 試しに自分で試してみたら、 自分の体にはしっかりとそのブレスが効いている。 その時フと、先日のノーマの言葉が頭を過ぎった。 『のブレスってさ、あたし等のとは違うよね』 「・・・ねえ、ジェイ。」 「なんです?」 「私のブレスってさ、ノーマとかウィルさんと違うの?」 「・・・なんですか、藪から棒に・・・」 率直に尋ねたら、呆れるように言われる。 うーん・・そんな顔をされましても・・・ 「人それぞれ個性があるように、ブレスもまた、人それぞれに個性があります。 ウィルさんとノーマさんのブレスだって、一括りに出来るものではありませんよ。」 「・・・そうなんだ?」 「当たり前でしょう。 ・・・まあ確かに、さんのブレスはそう言ったものとは 掛け離れた物である事は間違いありませんが・・・」 「・・・結局どっちなわけ?」 「確かにさんのブレスは強力です。特に癒しの力が著しい。 けれども、個性で片付けられないかと言えば 別に珍しいとは言え気にする必要も無い物だと言ってるんです。」 分かりましたか。 ジェイが言う。 「多分ね。」 その答えに、ジェイが溜息を付いた。 「・・・ブレスが効きにくい人間と言うのも、多くは無いにしろ いないわけではありません。・・・確立は非常に低いにしろね。 だから、貴女がそう言った体質であっても不思議はないんですよ。」 「ふ〜ん?」 分かってるんだか、分かってないんだか、答え。 「あくまでも『効きにくい』だけです。 だから恐らく、あなた自身の強力なブレスなら、貴女の傷も癒せるんでしょう。 ある意味、バランスは取れた体なのかもしれませんね」 「ああ、なる程ね。ちょっと納得。」 それから、やや間があって。 おや?と、首を傾げる。 「・・・もしかして、慰めてくれてた?」 「・・・本当に、鈍いんですね、貴女は・・」 その言いように、は笑った。 絶対に、ジェイが分かりにくいだけだ、と。 個性は大切だが、共通性が無い事に、人は少なからずの不安を抱く。 ・・・だから、別にあなたは特別ではないのだと。 多分、そう言いたかったんだろう。 自信は、ないけど。 「まったく・・・それだけ元気なら大丈夫ですね。 さんも外に行ってきたら如何です?」 「ん?何で? ・・・そう言えば、なんか賑やかだね、外。」 ジェイの言葉に首を傾げて、 耳を澄ませば、笑い声と水音、それと、恐らくウィルだろう、 なんか興奮した声が聞こえる。 ・・・遺跡モードだ、遺跡モード。 オレンジ属性の性だ、きっと。 「潜水艦を強化している間一晩、 自由行動らしいですよ。」 「あ、そうなんだ?」 それじゃあ、ちょっと行って来ようかな。 は立ち上がる。 まだ僅かに体は痛んだけども、 もう殆ど気にならない程度だった。 それから、フと思い立ってジェイに向き直る。 「ねえ、ジェイ。」 「今度は何ですか?」 「潜水艦にさ、水を汲み出すための機能とかって つけらんないのかな?」 言うと、余りに唐突な申し出だったからか、 ジェイは怪訝そうな顔をする。 けれども、そんな顔に負けてなんかいられない。 は「だってさあ」と少し砕けた口調で続けた。 「進むの、水の中だよ? もし水が中に入り込んだら、一巻の終わりじゃん。 安全対策として、けっこう必要だと思うけど。」 そう、言えばジェイは溜息をついて。 「多少手間は取りますが、考慮しましょう」 その様子に「ありがと」と返して 「ああ、それと、セネルさんには お礼を言ったほうが言いと思いますよ。」 「ん?」 「水に落ちた貴女を助けたの、セネルさんだそうですから。」 「あはは、ジェイってばお母さんみたい」 言ったら盛大に睨まれたので「おおっと」とか、 軽口叩いて慌てて外に出た。 そっか、水から引き上げてくれたあの腕は セネルだったのか・・・・ 納得したような、申し訳ないような。 |