「ねえ、変な事言ってもいい?」 「ご自分で変だと自覚されているなら、 言葉には出さない方が良いと思いますけど?」 「そう思って今の今まで言わないでいたんだけどね、 やっぱり言うだけ言ってみようと思って。」 「・・・どうせまたロクでもない事でしょう?」 「まあ、大体。」 「・・・・。」 「あのね、好き。」 「――――はい?」 彼女から、告白――と言ってもいい物かは甚だ疑問である所だが・・・ ともかく、好意を寄せている旨を伝えられたのはおよそ三日ほど前の話で そうとは言われたものの何も答えを返せずにいたのは、 彼女が予防線の様に付け加えた一言であるからで。 「別に、ジェイは私の事、好きじゃなくても良いからね」 そんな、最後に明るい口調で加えられた言葉。 なんてずるい人なんだろう――と思う。 お陰で自分は、何一つ彼女に言葉を返せないまま、 三日間遠巻きに彼女を見つめるという何とも腹立たしい日々を送ってしまった。 しかもその当人はと言えば、 いつもと変わらずにセネルやモーゼス達と笑いあっては、 自分に対しても、同じようにいつもと何も変わらずに話を振ってくる無神経っぷりだ。 いや、彼女なりの気遣いであろう事は一応自分にも理解は出来るが それが自分の気持ちからは酷くかけ離れた所にあるものだから、 どうにも腹立たしさを倍増させてくれる。 そんな自分勝手に気持ちを伝えておいて、 しかも予防線まで張って、答えの一つも聞かないで 卑怯だ、そんなの。 かと言って、今さらタイミングを逃してしまったこの状況下で 彼女になんと言えば良いものか。 いっそ無かった事にしてしまおうかという気にさえなるが、 それでは自分の気が収まらないのもまた事実で。 ―― だってこの数日のモヤモヤした気持ちだけでも 非常に腹立たしくて仕方ないのだ。 どうせ無かった事にしようとしても、すぐにこの なんとも言えないモヤモヤ感が消えるわけでもないし。 なんで自分がこんな人の為に、 何日も何日も腹立たしい思いをしなければならないのか・・・ 解せない――非常に。 「さん、」 非常に苛立たしい思いを抱えながら、 およそ三日ほどぶりに、自分から彼女に呼びかける。 彼女は今までと何も変わらない風に、振り返る。 ああ、何とも腹に据えかねる。 「これから非常におかしな事を言いますが、 言っておいた方が良いと思いましたので、言わせてもらいます」 「な、なによ急に・・・」 「貴女は卑怯です」 グッと息を飲み込む音。 理由は彼女にも十二分に分かっているはずだ。 事情を知らない仲間たちは、あからさまではないが 遠巻きに此方を気にしている。 「それと、僕は、卑怯者は嫌いです」 そう、ニッコリと言った。 の表情が一時歪む。 それでほんの少し、この数日の留飲を下げた自分は、 多分少し、性格が悪い。 ・・・まあ、知っていたけど。 「だから――もう一度。 正々堂々と貴女の気持ち、聞かせてもらいますよ。」 とりあえず、お答えは三日後にしますね。 ですから、さあ、どうぞ? そう、みんなが見ている前であくまでもニッコリと言う自分に は顔を赤くして 「ちょ、ちょっとジェイ・・・」 「はい?」 「そういう話は、二人の時に・・・」 「そういって、また逃げられても困りますから」 「・・・ジェイの方が、卑怯者じゃない・・・」 「何とでも、お好きに言って下さい」 膨れっ面で訴えるの言葉も、サラリとかわす。 モーゼスとノーマがニヤニヤと此方を見て笑っているのが、 気配だけでも十分にわかる。 それだけでも、こちらだって 非常に腹立たしいというか――心が痛い、色々な意味で。 ならばこれは、痛み分けといったところだ。 あるいは骨を切らせて、の方が正しいか。 何にせよ、こちらも相応の痛みはあるのだ。 今度こそ、卑怯な真似は許さない。 そう、瞳に込めてまっすぐに見据えると、 は言葉を探すようにオロオロとしていたが やがて、諦めた様に「わかったよ!!」と頭を掻いた。 「もう二度は言わないからね、ジェイっ」 「はい、構いませんよ?」 卑怯者よ、聞くがいい (好きよ、大好きよ、そんな意地悪なところも!) (では、お答えは三日後に) |