人の町に、朝日が昇る

僕等の町に、朝が来る


そんなワンシーンの一時が、何気無い日常を作り出し


この黄金に染まる街並みを見ながら、果たして
それがどんなに素晴らしいのか気付ける人が、どれだけいると言うのだろう


この町の中に少なからずいる、共に朝日を見つめる人々へ


どうか今日一日が幸せであるように、なんて


こんな朝は、気持ちが良いから
朝を迎える度、僕は生まれ変われるんじゃないかって。


思ってしまうから、偽善者みたいな事も言いたくなる


朝日と共に目覚めよう


そうすれば、彼女の寝顔をほんの少しの時間、
見つめている事が出来るから。


目覚めの時の彼女の驚く顔が少し好きだ、なんて


いい加減自分も性格が悪いとは思う。


今更なのだから、諦めて貰うよりも他にないけど。


微かに、布の擦れる音がした。


小さくうめく声の後に、
眠りの中にいた彼女の瞼は僅かに震えて


「おはようございます、さん」

「っジェイ!?」


まどろんだ表情で此方を捉えた彼女は
盛大に驚いて見せた。


毎度毎度、飽きない反応をくれる人だと思う。


「またやってたのー?」なんて、不服そうな顔をする。


「起こしてよ、悪趣味。」

「何言ってるんですか、まだ6時にもなってませんよ。」


悪趣味の部分は否定しない。

むしろ否定できない部分だから、あえてしない。


反論するのは起こしてくれと言う部分だ。


まだ、普段の目覚めには早い。


はもぞりと一つ伸びをすると、
布団をはいで、ベッドから起き上がった。


「まだ寝ていて良いですよ?」

「誰かさんのせいで目が覚めちゃったわよ、もうっ」


完全に覚醒したってーの。


朝から吐く悪態は、けれども日常茶飯事になれば
今更気にするようなことでもない。


「しょうがないから、今日は少し凝った朝ごはんにでもしようか」

「楽しみにしてますよ」

「はいはーい」


すっかり余ってしまっている時間の有効利用に
提案されたそれを、ジェイは微笑み返す。


ありきたりな返事でも、彼女は気にした様子もない。


ひとつ笑みを漏らして、
先ほどまで、自分が見つめていた窓を開いて
そっと外を覗き込む。


朝の日差しが肌に沁みた。


は目を細めながら、深呼吸する。


風に踊る彼女の髪が、綺麗だと思った。


朝の冷たい、けれども清浄な空気に
彼女の甘い香りが混ざりこんで、気持ちよかった。


「良い1日になりそうだね、ジェイ」

「ええ、そうですね」


振り返り言われた言葉に、
ジェイは心の底から、答えた。


良い1日になるだろうな、なんて
不確かな、けれども確信がある。


共に朝日を見つめた人々へ


こんな何気ない朝のひとときが
こんなに素敵なことだなんて


気付ける人が、一体何人いるのだろう



さん」

「ん?」



朝の風に吹かれて、少し冷えたその頬に
小さなキスを落とす。


微かに照れたように微笑む彼女は
まだ微かに金色の残る日差しに照らされて、綺麗だった




どうか今日一日が幸せであるように


いつもと変わりない
けれどもこんなに幸せな1日が、今日も始まるから


僕は、朝日と共に目覚めよう






朝の日差しに キスをして
こんなワンシーンが、ずっと綴られた思い出になればいい




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