太陽 の元に集う ぼく達 は 南風が吹いて、春の訪れを知る。 少し前までは寒々としていた遺跡船の木々は、南に南にと進むうちに その蕾を柔らかくして、柔らかい春の風に、咲いた花は重たそうに揺れていた。 空は高く透明で淡い。 降り注ぐような太陽の光が、若葉の映える芝生に大きな木の陰を落としていた。 その根元に座る、遠い目をした少女を見つけて、 チャバはそちらに足を向けた。 了承を取るでもなく隣に座り、その視線を追えば 赤い髪の、自分たちの上に立つ男が、 グランドガルフや、最近新しく出来た仲間たちと戯れている姿が見える。 「楽しそうだなぁ、兄貴達。」 その様子に、笑みながらチャバが言う。 少女・・・も、答えるように微笑んだ。 春風に攫われた髪がサラリと揺れて、甘い香りが鼻を掠める。 座る膝の上にはピヨピヨが乗っていて が優しくその鬣を撫でてやれば、 ピヨピヨは気持ち良さそうに目を閉じて見せた。 「ほんと・・。 セネルさん達と会ってから、特に良い笑顔見せるよね。」 「新しい家族が増えたんだ。そりゃぁ喜ぶよ。」 視線の先でモーゼスは、セネルたちに遊ばれてすっ転んだ。 とてもではないけれど、魔物使いの頭領の息子の姿には見えなくて、 それでも、は声を上げて笑った。 それなのに、チャバの視線はに向けられたまま、複雑そうだった。 「?どうかしたの?チャバ」 「あ、うん・・・・」 はっきりとしないチャバの物言いに、が首を傾げる。 チャバは、少し言いにくそうに視線を落として、言った。 「その・・・本当に良かったのかなって・・・」 「何が?」 「だって、、頭領から引き止められてたんだろ? あの村に・・・・」 魔物使いは、自然と心を通わせ、魔物たちと共に生きる。 彼女は、その才能について、特に秀でていた。 自然の声を聞き、魔物と会話した。 だからこそ、モーゼスと共にあの村を出ると言い出した彼女を モーゼスの父である頭領は引き止めたのだ。 けれど・・・ 「いいの。」 言った彼女の言葉は、強い響きを持っていた。 「私は居たいと思った所にしか居ないし、信頼した人の隣にしか立たない。 私はあの村よりも、モーゼスに付いて行きたいと思ったし、 信頼してるチャバ達の隣に居たいと思った。」 理由としては充分でしょう?と。 微妙に殺し文句だな、とか思いながら、チャバは頬を掻いて 照れた様に笑ってみせる。 「もしかして、、少しセネルさん達に妬いてる?」 「エヘ、バレた?」 言って、少し困ったように笑う彼女に、 そりゃあ付き合い長いから、と返して。 「ずーっと一緒に居たんだもん。ソレこそ、本当の兄弟みたいに。 そりゃ、少しは寂しい気にもなったりするよ。」 彼女を妹の様に思っていたのは、おそらくモーゼスも同じだろう。 は苦笑していたけれど、ソッと、 チャバの方に身を寄せて、指を絡ませる。 ピヨピヨが、何か空気でも察したのか、の膝から降りて 茂みの方へと逃げて行った。 そのピヨピヨの様子と、甘えるような仕草の彼女に、 多少の苦笑を孕みながらも、そっと落とした口付け。 ゆっくりと撫でた髪に、気持ち良さそうに目を細める。 「それでも、そろそろ兄離れも、しないとでしょ?」 言って見上げてきたは、悪戯を考える子供の様な目をしていた。 その様子に、苦笑しながらも同意して その時、どっから降って湧いたのか、2人の間にモーゼスが割って入る。 何故か息を切らしながら、肩で息をしていた。 「わ、ワレ等!イチャついちょらんで少しは助けんかい!!」 「助ける?」 「このピヨピヨのことじゃ!!!」 言って突き出した手の中に、先ほどの膝に乗っていたピヨピヨが 何か訴えるように暴れながら収まっている。 ピーピー煩く鳴くピヨピヨに、は困っていたけれども その内、ピタっと表情を固めて止まる。 「?」 チャバの問いかけ。 はあくまでニッコリと笑って見せたが、 なんか、空気が微妙に怒ってた。 「モーゼス、なんか、其処の茂みで覗いてたんだって?」 「な、何のことかの? ワイには、何の事やらサッパリ・・・・」 「ピヨピヨが全部話してくれました!! それにそこ!セネルさん達も覗いてるでしょ!!!」 「ゲっ」 流石に顔を赤くしてが怒鳴る。 その剣幕にモーゼスと、本当に覗いていたらしいセネルたちが逃げ出して、 今度はも混ざって、戯れ始める。 あれじゃあ、覗くも覗かないもないだろう、と チャバはと言えば結構冷静なもので、ただ少し照れたように頬を掻いていただけだった。 必死に逃げ回るモーゼスを見ながら、チャバは少し困ったように息をついた。 「よりも、兄貴の方が妹離れが必要な気がするよ」 モーゼスに飛び蹴りかましたと、モーゼスは、見事に三回転して 木の幹に顔面から突っ込む。 その様子に、セネルやノーマ達が爆笑して、釣られるようなの笑い声。 遠くで見つめながら、チャバも思わず微笑んだ。 春の太陽の元に集う僕達は、それでもきっと いつまでこんな風に戯れながら 君と一緒に、微笑い続けている。 ― fin... |
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